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16-6


「お客さんいっぱ~い」

 シェスカの高い声が辺りに聞こえ、フードで黒い髪を隠した万里華が、シェスカに向けて人差し指を口の前で立ててみせる。

「あんまり大きな声を出すと優真にばれて怒られちゃうよ? そしたらクレープ食べられないかも……」

 そう言った途端、シェスカは自分の口を両手で押さえて無言で頷いた。

 その様子を見て内心で(可愛いな~)と思いつつ、笑顔をシェスカに見せる万里華は、この行列に目を向けた。

(昨日ここ通った時はお客さん全然いなかったんだけどな~)


 今はまだ昼御飯を食べたばかりでお腹がそこまで空いていないので自分は大丈夫だと思うのだが、シェスカとファルナのコンビがこんな何もないところで待つのは無理なんだろうな~と早速不安になってきた。


 結局彼女の予想通り、鼻腔をくすぐる甘い匂いに興奮しているファルナと、じっと並んでいるのが我慢できなくなったシェスカは、並び始めて十分も経たずに暴れるのだが、そこは子どもを司る女神の天使として完璧に対応してみせ、並んでいた約1時間の間を見事、誰にも迷惑をかけずに乗りきってみせた。ほぼ、満身創痍の状態で……。


「お姉さ~ん! また来たよ~」

「あら……いらっしゃい。昨日はあなた達のお陰で繁盛したわ~ありがとね」

「シェスカのお陰~? シェスカ何もしてないよ~?」

「シェスカちゃんが美味しそうに食べてたから、お客さんがた~くさん来たんだよ。……ところでそちらの二人は?」

「こんにちは~昨日来た二人は仕事で忙しいので、ここに来たいって我が儘を言うこの子を私が連れてきたんですよ~。やっぱり一人じゃ危ないですからね~。それにしても本当に混んでましたね~。お陰で結構並んじゃいました」

「それはそれは……お待たせ致しました。ではご注文が決まり次第声をかけてくださいね」

 シェスカのことを覚えていた店員の女性は、優真達のことを覚えていたらしく、シェスカの隣にいた自分達に疑問を抱いていたが、理由を聞くとあまり疑わなくなった。

「ねぇ、シェスカちゃんは何がいいのかな~?」

「う~んとね~。これ! シェスカこれ食べてみた~い!」

 そう言って指差したメニューは桃のクレープだった。

 万里華はファルナにも同じように聞いてみたのだが、彼女はどれが美味しいのかわからないらしく、結局万里華が選ぶことになった。


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