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15-26

「なるほど……なら、俺があんたも守るから、万里華には別のことを頼んでもいいか?」

「え? 私はいいけど……女神様に聞かないとーー」

「彼女に避難誘導を任せるなら別に構わないけど、本当に大丈夫なのかい?」

 女神が俺の心を読んだかのように言う。

 だが、そう言った瞬間、時間切れの合図が時の止まった空間に鳴り響き、ファルナの攻撃が女神を叩き潰しにかかる。

「……不満か?」

 そう言った優真は、女神に振り下ろされていたファルナの腕を左手で受け止めていた。


「【ブースト】を常時10倍にして動いているのか……ふふっ……天使マリカ、君に指令を与える。優真君の指示に従って『救世の使徒』(彼ら)と共に逃げ遅れた子ども達の避難を手伝ってきなさい」

「女神様の仰せのままに」

 万里華は女神に跪くと、優真に一言「頑張って」と言ってから、背中についた翼を羽ばたかせ、どこかへ飛んでいってしまった。


「……まぁじっとはしてくれないか……」

 優真は自分が防いでいるファルナの前足に力がかかったのを感じて、彼女の方を確認すると、もう片方の前足で攻撃してくるのが見えた。

「……少し上げるか……50倍くらいでいいかな?」

 冷静に状況を見極め、左からやって来た横薙ぎも空いている片手で防いでみせた。

 女神は優真の考えていることを瞬時に読み取り、後方に下がった。

 その状況を背中で感じとった優真は防いでいた両足を掴んで右方向に流したことで、勢いを利用してファルナを転倒させた。


「全体重が乗ってるから少し引けば倒れるんだな……。怒りに任せて攻撃すれば隙が大きくなるとはよく言ったもんだ」

 転倒させたファルナを見て、そう言った優真は、後ろにいる女神の方を向いた。

「【ブースト】でファルナの相手をしつつ、子ども達への攻撃を【勇気】で防げばいいんだな。そのうえで、女神(あんた)を守りつつ、出来た眷族の輪ってやつをファルナにつける……仕事多すぎじゃね?」

「自分で私の護衛を引き受けたんじゃないか……せっかく負担を減らすために連れてきたのに……」

「まじか……まぁいいや。それから絶対反対するだろうから言わなかったんだけどさ……俺はファルナを殴る気はないから……」

「私に君の考えは当然読めてるさ。相手の攻撃を時間まで防ぐ気なんだね。……まぁファルナちゃん(彼女)相手にそれをやるのは相当難しいと思うけど……君がやりたいならそうすればいいさ。じゃあ彼女もそろそろ起きそうだし、私は近くで潜伏させてもらうよ」

 そう言った女神は茂みの方に行き、立ち止まった場所で詠唱を始める。

 その姿を見た優真は、その視線を起き上がってこちらに咆哮を轟かせる白き虎の方に向けた。

「さて……すぐに助けてやるからな~。もうちょい我慢してくれよ」

 そう言った優真は、ファルナの方に向かっていくのであった。 

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