15-20
本来であれば、この話を昨日投稿する予定でしたが、何かの手違いで15-21が投稿されていました。
本当に申し訳ありませんでした。
一応、今回はこれだけではなんか酷いので、しっかりと2話分投稿させていただきます。
話が飛んだことをここに深くお詫び致します。
鉄格子を掴み、涙を流しながら自分の名前を呼んでくれた少女。
その少女は自分にとって大切な初めて出来た友達で、あの船に乗るまで、自分との別れを惜しんでくれた……僕が心を許せた存在の一人だった。
「………………シェスカ?」
涙を床に落としながら、震えた声でシェスカの名前を呼んだ少女。その姿を見た優真は、心の底から安堵した。その瞬間、空だから力が抜け、支えを失った優真は、へたりこむように座った。
「……なんでシェスカがここに? ……お兄さん? なんでそんなに傷だらけなの?」
「……今まで意識無かったのかよ……まぁいい……お前がこんなところにいるから解放しようと思ってたんだよ」
「え……またお兄さんが助けに来てくれたの? ……僕の居場所がよくわかったね。……もしかしてお兄さんは僕のストーカーかなんかなの? 気持ち悪い人なの?」
「……せっかく助けに来てこんなぼろぼろになるまで頑張ったのにこの言われよう……なんか釈然としないなぁ」
優真がぼやくと、ファルナは「ごめんね」と楽しそうに笑いながら謝ってきた。
◆ ◆ ◆
「なぁ博士……眷族様はなんで獣人の言葉がわかるんだ? 私にはさっぱりなんだけど……」
女神より少し遅れてやって来たバートラムにホムラがそんなことを聞き始めた。
今来たばかりで状況がまったく飲み込めていないバートラムは、ぼろぼろのワンピースを着た白髪の猫耳少女とさっきまで綺麗だった服がぼろぼろになっていた優真の姿を見て、自分の方が状況や理由を知りたくなった。
「優真自身も自分が獣人の言葉をしゃべっているとは思ってないと思いますよ。女神様からどんな言語でも話せるようになる神の加護をいただいてますからね。優真にはあの子の言葉もあなた達が話す言葉も同様に聞こえているんだと思います」
そんな疑問を解消させる答えをくれたのは万里華だった。彼女はそれだけ言うと、ホムラから鍵を受け取って怪我をしている優真の元に向かった。
◆ ◆ ◆
万里華が優真のところに行こうと扉を開けようとした瞬間、小さな手がそれを阻止した。
手の持ち主はこの状況を気まずそうな目で見るだけだった。
「優真君……ぼろぼろの君にこんなことを頼むのは酷だと思うが………話を聞いてほしい。実は彼女の意思が戻るとあいつを怒らせる結果になるから……やるなら相手の意識を完全に飛ばして欲しかったんだよね……まぁ、あそこまで暴走していたら問題はないと思ってたから言わなかったんだけど……」
いきなりしどろもどろし始めた女神の姿に疑問を抱くが、隣にいたファルナが再び苦しみ始めたことで優真の視線はそちらに向いた。
「……なんというか……その……」
「はっきり言え!」
「……もう一戦あるから頑張ってね」
その女神の言葉で再び戦いの火蓋が切られた。




