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『や~~っと修理が終わりました~~!! やりましたよ女神様~~!!』
時の停止が確認できた瞬間、耳に届いた歓喜の声に優真は目の前に現れたタッチパネルを確認する。
そこには声と同じ文章が書かれていたが、その声には覚えがなかった。
「すごいですミハエラ先輩! 通信機の修理が終わったんですね!」
後ろの方からは手を合わせて心から尊敬しているような表情を見せる万里華が普通に動いていた。
未だにこの状況で他の誰かが動いていることに違和感を覚えたが、万里華が言った先程の言葉がそれよりも驚きだった。
「通信機ってなんだ?」
「え? ……あれ……もしかして聞いてない?」
俺の質問に予想外だったとでも言いたげな表情を見せる万里華にため息がつきたくなる。
彼女の驚きようから察するに、絶対重要な情報に間違いないと思えた。
『通信機というのは、私達があなたとこうして交信するために必要な道具ですね……音声に出すことも文章として出すことも可能ですが……まぁ、女神様しか持っていない神器みたいなものだとでも覚えてくだされば結構です』
「……今の声……ってことはこの声を出している方がミハエラさんか……説明ありがとうございます。……ってことは……もしかしてそれが壊れてたから最近こういうやりとりがなかったってことてですか?」
『えっ? ……ええ……まぁ……そういうことです』
俺の質問に答えたミハエラさんはぎこちない返事をしてくるが、万里華の方は視線を向けた瞬間、目を逸らしてくる。
「……まぁ詳しいことは帰ってから聞くとするか……今は目の前に集中しないとな……」
万里華に向けていた視線を、目の前で俺に攻撃してきた白髪の獣人少女へと向けた。
ファルナの鋭く尖った爪が俺の顔を切り裂こうとしていた。
だが、迷っている時間はなかった。正確には彼女達と話したことで時間が無くなってしまったのだが……5秒もあればやりたいことはできる。
そして「パチン」という甲高い音が響き、全ての時が動きだした。




