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15-10

 バートラムによって案内された場所は、あまり大きくはない建物だった。ホムラ以外の『救世の使徒』メンバーはついてきておらず、先程まで騒がしかったのが嘘みたいに静かになった。

 一緒についてきているシルヴィと万里華は、俺と少し離れた距離で何かを話し合っているのが伺えた。内容は聞き取れなかったが、女神が俺のことを話し合っていると教えてくれた。

 気にはなったが、俺に内緒の話だからこそ、離れた距離で話しているのだろう。無理矢理聞いて、そんな奴だとは思われるのも嫌だったし、聞かないことにした。

 その瞬間、隣で歩いている女神が「賢明だよ」と呟いてきた。


 中に案内された俺達はその惨状に絶句してしまった。

「さぁ、あまり広くはないがどうか寛いでくれ」

(((……どうやって?)))

 執務室と表に書かれていた部屋の床は一面に広がる書類や書物のせいでまさに足の踏み場もない状態だった。


「ははは……ごめんね。片付けるのは苦手な方でね。この部屋が一番まともな方なんだよ。神様を迎える部屋にはふさわしくないかもしれないけど……大目に見てもらえると助かるかな……」

(((これ以上?)))

 優真、万里華、シルヴィの3人は、他の部屋の惨状が少し気になりつつも、バートラムに席へと促されたため、紙が無いところを慎重に歩き、ソファーの近くまで近付いていった。

「いいよいいよ。私はそんなことを気にするほど心狭くないし……ていうか私言ったっけ? 自分が女神だってこと? 人にばれないよう神力の類いは使っていないはずなんだけど……」

「あなた方の話はキョウ君から伺っています。子どもを司る女神様とその眷族の方だとか……」

「なるほどね~」


 それを聞いて納得した様子の女神はまともそうなソファーに腰掛けるとシェスカをおんぶしている俺以外の3人を隣に座らせた。

「ユーマさん……私の代わりに座ってください」

「ああ、大丈夫大丈夫。それよりもシルヴィの方が今日たくさん歩いて疲れたんじゃない? 俺のことはいいから座ってよ」

「だったら私の分を使ってくれ! 眷族様を立たせたまんまなんてリーダーとして失格だからな!」

「……それならありがたく座らせてもらうけど……眷族様はやめてほしいんだが……」

「ふむ……わかった。ならなんて呼べばいいんだ?」

「そう言われると思いつかないな……普通に呼んでくれたらそれでいいよ……」

「なら……ダンナと呼ばせてもらってもいいか? そっちの方が呼びやすいしな」

「呼びたいように呼んでくれて構わないよ」


 そんなやり取りをする俺とホムラをバートラムさんが優しい表情で眺めてくる。

「……珍しいね。ホムラ君が初めて会った人と仲良くなるなんて……今日はいろんな驚きばかりだ。でも楽しく話しているところ悪いんだが……そろそろ本題に入っても構わないかな?」

 その言葉に反対意見を述べる者はいなかった。

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