表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/970

15-3


「へぇ……【勇気】の発動中ってこんな感じだったんだね……本当に誰も動けてないや」

「あの光ってるのが、優真の特殊能力【勇気】に反応した人?」

「……いやなんで二人は動けてんの?」

 俺の特殊能力【勇気】が発動し、いつものように襲いかかってきた者達だけでなく、同じ時を歩む者全てが止まってしまう……はずだった。

 だが、万里華と女神に関しては、普通に動けていることが優真には疑問だった。


「あれ? 気付いてなかったのかい? 私と私の天使達にはこの【勇気】という能力は及ばないようにしてあるんだ」

「……てことは……」

 女神からの説明を聞いた優真は、その視線を万里華の方に向けた。

「うん……もう薄々勘づいているとは思うけど……私も女神様の下で天使になったんだ」

「……そうか……てっきり俺と同じで、眷族になったんだとばかり思ってたよ……」

 彼女の言葉を受け止めた優真はそう言うことしか出来なかった。

 きっと彼女にも何かしらの出来事があって、自分がいるこっちの世界に来てしまったということなのだろう。


「とりあえず話し合いは別の機会にして、優真君はここを片付けといてよ」

「わかった。じゃあ二人は動けないシェスカとシルヴィを安全な場所まで下げてくれるか? そこにいられると巻き添えくっちゃうからね」

 女神の言葉によって強制的にやるべきことが選択された。

 二人は危険な位置にいたシルヴィとシェスカを抱き上げると、即座に安全な場所に移動した。


 彼らを殺す気はない。

 ただ、少しだけ痛い目にあってもらうだけだ。


 優真は止まった空間の中で強調表示されている存在を見つけ、その男を一撃の下に暗闇へと誘う(いざなう)

 優真はそれを止まる度に繰り返した。


 少しだけ卑怯な気もしたが、加減を間違える訳にはいかなかったため、心を鬼にして、動かなかった少年とそれを庇う少女二人を残して全員地べたに這わせる結果を作り出した。


 襲いかかってくる者がいなくなったため、時が止まることはなくなるが、目の前で起きた現象を怯えた目で見る少年は、優真の姿を再び見た瞬間、腰を抜かした。

 しかし、少女二人は勇敢にも引き抜いた剣で襲いかかろうとするが、一瞬で剣を奪われ、絶望をその瞳に宿す結果となった。

 しかし、戦いはそれで終わらなかった。


 優真の時が再び止まり、優真の警戒心が一気に強まる。

 視界内に現れたのは、昔インターネットやドラマで見たことがある弾丸のようなものだった。そして、その先には布で金色の瞳以外を隠した人物が剣と拳銃をこちらに向けて構えていた。


 その弾丸は、避けなければ顔に当たるであろう位置にあったものの、避ける訳にはいかなかった。何故なら避ければ俺が剣を奪った少女の一人に当たってしまうからだ。

 それは絶対に()けるべき事態だった。


 俺が奪った剣で銃弾を叩き落とすと、案の定時が動きだし、布で顔を隠した人物が剣を振りかぶる。

 もう片方の剣でその攻撃を防いでみせるとつばぜり合いをする事なく、後ろに下がっていった。

 一瞬の動揺すら見せないその姿が、同時に危険だと思えた。

 これ以上は【勇気】に頼ることができないのを頭に入れ、その子と対峙した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ