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15-2


「あなた達さっきから何なの? 優真にそんな物騒な物向けるなんて……覚悟はできてるんでしょうね?」

「うるさいぞ痴女め! こんな公衆の面前であんなことをして、恥ずかしくないのか!」

 そう言われた万里華は自分の先程までを振り返る。


 人目を気にせずキスをする。

 一昔前の自分では絶対にしなかったであろうことだった。

 いくら色々と溜まっていたとはいえ、このような場所であんなことをしてしまった自分が恥ずかしくなり、顔が上気していく。

 優真の方を恐る恐る見てみると優真も頬を赤く染めて顔を逸らした。


「……ごめん優真。目の前で好きな人が毎日のように別の人とキスしているのを見ていたら……いてもたってもいられなくなっちゃって……ごめん私、周りが見えなくなってたみたい……」

 優真にそう謝った後、万里華はシルヴィの方を見た。

「……あなたにも失礼な態度を取ってしまったわね……本当にごめんなさい」

「……いいですよ……とはとても言いたくないんですが……今回は水に流します」

 シルヴィは思いの外あっさりと許していたが、万里華は納得いかない様子だった。

「……いいの? 私はあなたの婚約者にいきなりキスしたのよ? 普通怒るんじゃないの?」

「これが初めてのことだったら、あなたを許せませんでしたが、二回目なので…………あなたがマリカさんなんですよね? ユーマさんと同郷だって話の……」

「ええ……私は金橋万里華。こっちの世界ではマリカってことにしてるから、気軽にマリカって呼んでちょうだい」

「私はシルヴィです。よろしくお願いしますマリカさん!」

「うん、よろしくねシルヴィさん」

 二人は握手を交わして、色々と話し始めた。

 先程まで男を取り合っていた二人とは思えないほど、二人はすぐに仲良くなった。


 いきなりのことで驚きはしたが、再び会えたことは素直に嬉しいのも事実だった。

 優真はその事も考慮して、にやついた目でこっちを見てくる幼い見た目の女神を地面に下ろした。

「とりあえず万里華の件は帰ってからじっくり聞けばいいか……」

「私を家に上げてくれるの?」

「幼なじみと女神を追いかえすなんてことしたらどんな罰があたるかわかったもんじゃないからな……シルヴィも構わないだろ?」

「はい……大丈夫です」

「よし……じゃあこっちだーー」

「僕を無視するな!」

 帰路につこうとした瞬間向けられる剣の切っ先。その剣を持つ少年はどうやら本気で怒っている様子だった。

「はぁ……もういいじゃん。こっちは君の言う通りに離したんだぞ? まだ文句があるのか?」

「さっきまではなんかいい雰囲気だったから黙ってておいてやったが……このまま帰す訳ないじゃないか!」

「……君って案外いい奴だなぁ……俺は君みたいに気を配れる子は結構好きだぞ?」

「僕はお前が大っ嫌いだよ! 二人の美人を引き連れて、おまけにこんな公衆の面前であんなことをし始めるなんて……羨ま……許されないぞ!」

「今一瞬本音が出てたね……本当に素直な子だなぁ」

 そんなことを言っていると、少年の顔がどんどん赤くなっていく。それを見かねた彼の後ろに立っていた少女の一人が彼を庇うように立った。

「大変よ皆! 悪い大人が隊長を丸めこもうとしているわ! ……悪い大人は全員排除するのが我ら『救世の使徒』の使命……あの男を捕らえなさい!」

 その言葉を聞いた若者達は剣をおさめて襲いかかってきた。

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