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「ねぇ……確かに似合うの見繕ってって頼んだけどさ……これはさすがにおかしくない?」
「そうでしょうか? 当店自慢の一品ですが……お気に召しませんか?」
あれから色々と店内を回っていた優真だったが、準備が出来たと言ってきた店員に、狭い試着室の前に連れてこられていた。
「……いやまぁ……わからないでもないけど……なんでこんな服がここに置いてあるの?」
自分と試着室を隔てていたカーテンが開かれ、そこに立っていたのは日本でお馴染みのセーラー服を着たシルヴィだった。
その姿を見た瞬間、頭が真っ白になる程の驚きに見舞われるが、どうしても私服として受け入れられない優真からしてみればそのセーラー服は違和感しかない。
「に……似合いますか?」
「いや……似合う……似合うけど……なんというか他の服ないの?」
頬を赤らめ、もじもじしながら聞いてくるシルヴィに、率直な感想を述べつつも、どう考えたって制服でしかないセーラー服をさすがに私用で着せるのはなんか違うと感じた。
「ではお次はいかがですか?」
着替える時間を間に設けて、再びカーテンが開かれる。
「…………ねぇ……ここって本当に洋服屋? 本当はコスプレ店とかじゃないの?」
出てきたシルヴィが着ていたのは、まさかのナース服だった。なんでそんなものがこの店に売ってあるのかとか色々問い詰めたいが……少し看病されたくなった。
「こちらは当店一押しで、更に売り上げトップのものですよ! 何が気にいらないんですか!!」
「いや……決して悪くはないんだけどTPOに反してない? …………まぁ……とりあえず1着貰おうかな」
「えっ!? これ買うんですか!?」
「まぁ……シルヴィも寝間着とか必要じゃない? そういう用途で買おうかなって……」
「そ……そういうことなら……わかりました……恥ずかしいけど我慢します……」
(あ……いいんだ)
シルヴィの了承も得られたことにより、買うことは決定したが……元々外出用に服を買う予定だったため、謎のファッションショーはまだまだ続いた。




