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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
2章:実習生、ついた森で猛獣に会う
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 おまけ ~猛獣と出会った後~

「あ~~~、寒い~腹減った~」

 現在の気温はよくわからないが、川に飛び込んだせいでびしょ濡れになってしまった。

 着ている服は、日本で死んだ時の服だけ。もう、血はついていなかったが、着替えもなければ食料もない。

 目の前には、タッチパネルがあるだけ。


 とりあえず、タッチパネルを触っていれば、なにかこの状況を打破するものがあるかもしれない。

 そう思って、いじっていると、スキル欄の下に、アイテムボックスという項目があった。


 名前から察するに、アイテムとかを出し入れできるものだと思うんだが……そうなのだろうか?


『アイテムボックスは、手荷物を入れておくのにうってつけのものです。あなたが最初に来た場所は天界というのですが、あそこに保管されます。時の流れが自由自在な場所なので、いろんなものが入れて置けます。上限は多分ないです』

 悩んでいると、ピロリーンという電子音が脳内に届く。さっきからなにか書かれる度にこの音が流れてくる。

 というか、最後の文! 自分の空間くらいちゃんと把握しときなよ!


『それから、一つ注意事項ですが、物が無くなっても自己責任です』

「……え? 天界って物が無くなるの?」

『神様からの伝言です。出来れば食べ物は大量に入れといて。特にせんべいとかよろしく~、だ、そうです』

(お前が食うんかい!)

 …………食料に下剤でも突っ込もうかと一瞬閃いてしまった。

 だが、俺も食べられなくなっては、意味がないし。


 その時、俺のお腹が空腹を伝える音を鳴らした。

(そうだった、そうだった。とりあえずなんか食わないとな)


 そう思ってアイテムボックスを開くと、そこには、一つのもの以外は全部すっからかんだった。

『あれ? おかしいですね。さっきまで数日分の食料をここに入れておいたのですが……どこにも見当たりませんね』


 …………まじかよ。食料無し? 俺どうやって生きていくの?


『すいません、神様に聞いたところ、久しぶりに力使ってお腹減ったから全部食べちゃった。とのことです。すいません、あなたの金で買った食べ物でしたのに』


「はああああああ!? ふざっけんなよ。このくそ女神ーーっ!!」

 その表示が出た時、ついに、心優しき青年の怒りは爆発した。


「あまつさえ、俺を熊のモンスターに襲わせたと思ったら、今度は兵糧攻めかっ!! 俺を生かしたいのか、殺したいのかどっちなんだっ!!」


『落ち着いてください優真様。ここで暴れてもいいことはありません! そうだ。まずは服をお着替えになられてはどうでしょう? 服ならここにありますし』

「……くそっ、……わかったよ。とりあえずどうやって出せばいい?」

 怒りはまだ納まっていなかったが、とりあえず、ここはその指示に従ってみることにした。

『ありがとうございます。それではアイテムボックスの取り出したいものをタップしてください』

「これでいいのか?」

 優真はタッチパネルに表示された通りに、操作してみる。


 すると、一つの服? が空中から召喚された。

「…………なあ、これって俺があっちで外したエプロンだよな? ……これでどうしろと?」


『アイテム:血まみれエプロン

 効果:肉食動物を誘き寄せる効果がある。

    防寒効果は特にない。』


 表示された説明文を読み終えた優真は、タッチパネルにも殺意を覚えつつあった。怒声を飛ばそうとするが、周囲からうなり声が聞こえてきたため、疲れて棒になった足に鞭うって全力でその場から移動した。


「ふざっっっけんなやーーーーー!!!」

 優真は、こんな状況を作りだした女神に文句を言いながら、走るのであった。


 ちなみにエプロンは、移動した後、アイテムボックスに戻しました。 

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