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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
2章:実習生、ついた森で猛獣に会う
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2-3

『・初ターンは先制行動可能

 目の前に危険が迫った時のみ使用可能になり、自動で効果が発動する。

 襲われた際、1分間使用者以外の全ての時が止まる。ただし、行動を選択し、その行動を終えれば、能力は切れる。

 また、1分間何もしなかった場合は時が動き出す』


 その素晴らしい効果に俺は感嘆の声をあげた。

 なかなかいい能力だな。要するに、どんなに相手が速くても、俺の方が先に動ける能力なのか。ただ、さっきの表示に初ターンが逃げられないと書いてあったということは、逃げるという選択以外なら、なんでもできるってことだよな?

 しかし、1分となると急いだ方がいいな。


 よし! いっちょこの【ブースト】という特殊能力を試してみるとするか! ブーストっていうくらいだから、戦闘力が上がる能力なんだろうし、殴ってみればいいかな。


「【ブースト】発動! くたばれ! 熊野郎!!」

 その言葉と共に、俺は振り上げた拳を動かない相手の頭蓋にぶちかます。

 しかし、この熊の頭は、石頭と言うに相応しい硬さを持っており、殴ったこっちの右手が痺れて痛めてしまった。

 ブーストの効果はのってないのか、相手の熊にダメージを与えられたような痕跡はなかった。


 何が起こったのか理解出来なかった俺のもとにタッチパネルから、何かを知らせるような音が鳴った。

『ぷぷ~。発動条件満たしてないんだから、そんな掛け声したって発動するわけないじゃん。ばっかみたい(笑)』


「はあああああああああ!? そういう大事なことはもっと早く言えやーーっ!!」

 タッチパネルというよりも、これを書いてるあの女神に対して文句を言ったが、お知らせはこれだけじゃなかった。

『P.S【勇気】の能力解除されるから、後は自力でがんばっ!』


 その文を読んだ後、優真の顔は真っ青になった。


「……え? このタイミングで切れるの? 能力無し状態の俺がこんな化け物に勝てる訳ないじゃん。ふざけんなよっ!!」

 ついあの女神に悪態をついてしまうが、今はそれどころではなかった。

 目の前で鼻息荒くうなっている黒い熊、殴られたことに怒りでも感じているのか、正直ちょっとちびりそうだった。


「ご……ごめんね」

 愛想笑いをしながらその言葉だけ残して、【勇気】から解放された優真は、一目散に逃げ出した。もちろん、怒り狂った熊に追いかけられながら。

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