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「……誰だ貴様?」

 頭から血を流し、体のあちこちから酷い出血をしているベラキファスは顔を隠して近付いてきているその人物にそう問いかけた。

「将軍ベラキファスで間違いないな?」

 それを無視して自分の聞きたいことを聞く。

 それは女の声だった。ベラキファスには彼女が誰かはわからなかったが、彼女達のことはよく知っていた。

(くそっ……奴らがもうここを嗅ぎ付けたのか!? まずい……ここには!)

 ベラキファスの顔から焦りが見てとれたため、その少ない仕草から目的のものを探しだす。

「や……やめろ! そこは!!」

 ベラキファスがそう叫んだ部屋に入ってみると、布が被さった檻を見つけた。そこには複数の獣人が全裸にひんむかれて捕らわれていた。

 それは全員十代くらいの少女だった。


 ()()は舌打ちして「やはりか」と呟いてベラキファスの元に戻った。

「……将軍ともあろう者が獣人誘拐の首謀者とはな……この国も墜ちるとこまで墜ちたな……」

「黙れ女! 女のガキが偉ぶってるんじゃねえ!!」

 優真に蹴られて動けない筈のベラキファスだったが、目の前にいる少女一人潰す程度には雑作ないという判断を下し、死力を尽くして飛びかかる。

 しかし、ベラキファスは少女が懐から取り出した銃で額に風穴を空けられ、その体はすぐに動かなくなった。


「我ら『救世の使徒』はお前のような権力を振り撒く大人を決して見逃しはしない」


 硝煙漂う銃を構えていた少女はそう言うと、銃を仕舞ってからベラキファスの服をあさり、鍵束を見つけ牢の鍵を開けた。

「もう大丈夫だ! 私は君達を助けに来た……おや? 珍しいな……神獣族もいるのか? ……君……名前は?」

「……ファルナ」

 白い髪の獣人はそう答えた。


 この日、王都近辺のカナルヤという町で将軍ベラキファスの家が何者かに攻められ、将軍ベラキファスとその臣下が数名命を落としたという事件がパルテマス帝国中に広がった。

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