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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
2章:実習生、ついた森で猛獣に会う
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2-2

「……はあ? ……なにこの熊、……こんなの勝てる訳ないだろ」

 目の前でうなり声をあげている熊は、四つん這いで俺を見ている。

 ……そういえば、熊と出会った時の対処法をなんか見たことあるな。死んだふりだっけ? いや無理だろ。こんな人を喰わせろオーラ全開の熊相手に死んだふりとか! ……あれ、確か死んだふりは効果ないんだっけ?


『ないよ』

 青い画面に書かれた三文字に、感謝しつつも、もう少しなんかいろいろ攻略法を書いて欲しいと思った。

『ggrks』

 この時、少しだけあの女神に殺意を覚えた。


 しかし、俺も馬鹿じゃない。

 今のやり取りで、熊への対処法をなんとか思い出せた。

 ………確か、逃げるのが正解だったよな?


 大丈夫だよな? 本当に大丈夫なんだよな?

 転生して数十秒で死ぬなんて洒落にもなってないぞ。

 まずは目を反らさずに、そっと逃げよう。


「ビービービービー」

 イレギュラーを伝えるような電子音が耳に響く。その時、青い画面が赤くなり、そこにはこんなことが書かれていた。

『特殊能力【勇気】が発動条件を満たしたため、これよりあなたは1ターンの間、逃げられません』


 ……………は?

 いや、意味がさっぱり分からないんだけど!! 

 なんで逃げられない訳!?


 俺は混乱して、まともな判断が出来ていなかったが、要するに能力把握はした方がいいということだけは分かった。

 そんな俺の意図を察したのか、スキル欄というものが画面に表示された。


『【勇気】

 ・初ターンは逃げられない 

 ・初ターンは先制行動可能』


 ………は?

 なんだこの能力、意味がよくわからないんだけど!

 これが、神から与えられた能力だとでもいうの?


 しかし、これだけではなかった。

 どうやらこの画面はスライドさせることができるらしい。

 そこには【ブースト】と書かれた特殊能力だけ書いてあった。

 能力の詳細も一切なかった。

「このタッチパネルって能力の詳細とかないのか? それとも【ブースト】ってやつが特殊なだけ?」


 タッチパネルとは、さっきから、色んなことを教えてくれる画面のことでなんとなく呼びやすかったので、これからそう呼ぶことにしたのだ。


「いや、そんなことより、さっきからなんであの熊は襲って来ないわけ?」

 先程から妙な違和感を感じるので、熊の方を見てみると、例の熊は動きを止めていた。

 いや、それどころか、木から落ちていたであろう葉っぱも、空中で止まっていた。


「……時が……止まってる?」

 その不可解な現象の答えをくれたのは、タッチパネルだった。

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