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「…………おい……誰に向かってその腕を振ってるんだ? ……誰の腕握ってんだ?」

 ベラキファスはその目に睨まれ、急いで左腕を戻そうとするが、それは叶わなかった。

 びくともしない左腕。鎧のおかげで痛みはまったくないが、それでも恐怖が徐々に募っていく。

(この私が震えている? ……ありえん! こんな雑魚ごときに……!)

 

 ベラキファスは、その圧倒的な防御力を利用して先程のようにカウンターを叩き込もうと考え、シルヴィを投げ捨てる。

 地面に叩きつけられて悲鳴をあげたシルヴィの姿が、優真の視界に映る。

 ベラキファスが何気なくやった行いは優真の怒りという炎に油を注いだようなものだった。

「……殺す!」

「また返り討ちにしてくれるわ!!」


 優真の放った左拳による一撃は、ベラキファスの顔面を捉え【ブースト】による強化を存分に発揮していた。

 カウンターを叩き込もうとしていたベラキファスは、その圧倒的な力の前に成す術なく殴り飛ばされる。


『使用時間一時間以内に、子どもを守ったことにより、【ブースト】の効果が延長されました』

 その表示には残り1時間5分と明記されており、そのタイムリミット後には今までよりも辛い疲労がのし掛かってくることが予想された。


「……ありがとな。……力を貸してくれて……あんたのおかげで二人を守れそうだ……」

 ベラキファスを殴り飛ばした優真は反応を示さないタッチパネルにそう呟いた。


 ◆ ◆ ◆


 刀が折れたのは間違いなく自分の未熟が招いた結果だった。

 相手の実力を見誤った結果、勝ち急いで剣に込めた力が不充分だったのだろう。

 そのうえ、相手の攻撃をもろにもらってしまった。

 だが、次も同じ過ちを繰り返す気はない。

 要するに、あいつの鎧は少し本気を出しても問題ない代物っていうことなんだろ?

「……【ブースト】発動……攻撃力80倍、スピード16倍、防御力32倍、回復力48倍」

 その言葉に合わせて自分の力が上昇していくのを感じた。


 床に突っ伏していたベラキファスは腕を使ってその重い体を起こしていく。

「ちっ、油断したか……まさかまだあれ程動けたとは……だが、その程度の実力で私に敵うとでも?」

「敵うさ……俺の方が強いんだから」

 殴り飛ばされたことでかなり距離が開いていたというのに、いきなり目の前に優真が現れたことで、ベラキファスは動揺するも、今度は腕で顔を庇って防御の姿勢を整える。

 だが、優真の狙いは顔ではなかった。

 振り上げた拳は、ベラキファス自慢の鎧を殴打する。

 その威力はベラキファスが踏ん張りをきかせても、強引に後退させる程だった。

「はっ、私の鎧には傷一つつけることは出来んと言わなかっ……ゴフッ……」

 勝ち誇っていたベラキファスの口から血が吐き出された。

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