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そしてこれはシェスカが少し前に教えてくれたことなのだが、どうやらシルヴィは地面に立つ俺よりも下の位置にいるらしい。
……おそらく地下室に監禁されていると思うのだが…………【ブースト】のタイムリミットは残り20分くらいか……できるだけ急いだ方がいいな。
隠密ができる訳じゃない。
ここは町中で人もまばらに存在している。
だからと言ってどうだということはないんだけどな。
「行くか?」
「うん!」
その短いやり取りが成された後、二人の姿はそこになかった。
◆ ◆ ◆
広くて薄気味悪い空間に一人の少女が壁に寄りかかる形で寝ていた。
少女はふと目を覚まし、自分の状態を確認して昨夜の出来事が夢ではなかったことを嘆く。
昨夜は静かだったにもかかわらず、近くから変な音が聞こえてくる。
そんな不気味な空間は、少女の神経を磨り減らしていく。
楽しかった生活は昨日で終わった。
おばあちゃんは目の前で処刑された。
ユーマさんも結局帰って来なかったからお別れが言えなかった。
せめて最後に一言、お別れの言葉くらい言いたかった。
ユーマさんと働くのはとても楽しかった。いつも私たちとは違う意見を言ってくれる。
その意見は、参考になる時もあったし、子どもたちに不評な時もあった。
……それでもめげずに子どもたちと真摯に向き合うところは尊敬していた。
「……また…………会いたいよ……」
でも、それが不可能なことはわかってた。
ユーマさんはこっちに来ないで欲しい。
お母さんやお父さんみたいに私なんかのために自分を犠牲にしないで欲しい。
そうは願っていても会いたかった。
心の奥底ではユーマさんが助けに来て欲しいと願っている自分がいる。
あんなことを繰り返したくないのも事実で、それでもユーマさんやシェスカ、村の皆と一緒に暮らしたいというのも事実だった。
あれだけ迷惑をかけて、皆を危険に晒したのにまだそんなことを願う自分が嫌になる。
私にそんなことを願う資格なんてないのに。
……結局、私がいるから皆が不幸になるんだ。
おばあちゃんが一人で責任を背負ったから、村の皆は殺されずに済んだ。でも、一歩間違えればあの村は今頃火の海に沈んでいたことは間違いない。
おばあちゃんを殺した男の奴隷になるのも嫌だったし、皆にこれ以上迷惑をかけるのも嫌だった。
「……私が生きているから……いけないんだ」




