11-1
目隠しをされた少女はベラキファスに連れられてとある建物に入った。
木の扉を開閉する音が耳に入ってきて、引っ張られるまま、少女は連れていかれた。
下へと続く階段を何度か転びそうになりながらも降りてゆく。
そして、そこに放り込まれた時、憎い男の声が聞こえてきた。
「お前とは明日の夜にでも遊んでやるからな。それまでおとなしく待ってろ」
憎々しい声でそれだけ言われると、少女の耳に鍵を閉めるような音が聞こえてきた。
階段を上へと上がる音、足音が止み、木の扉が開閉される音を最後に再び静かな時間が動きだす。
「……うぅ……おばあちゃん……シェスカ……ユーマさん……」
少女のすすり泣くような声は、静かだった地下牢に響いた。
◆ ◆ ◆
「お兄ちゃん止まって!」
優真は背負う少女の声に従い、走る足を止めた。
「どうかしたのか?」
優真は後ろを振り返り、シェスカに理由を尋ねようとしたが、目を閉じている少女の姿を見て「なるほど」と呟いて理解した。
シェスカは移動中も、正確な位置を探るために、こうして俺の足を止めることが何度かあった。
……ただ、別のことで俺を呼び止める時もあった。
お腹すいたとかお手洗いならまだいい。
変なものを見つけたり、どうでもいいような話をするために足を止められる度、怒鳴りつけたい気分でいっぱいになる。
まぁ、この状況で彼女のやる気を削ぐような行為は避けたかったのもあり、怒鳴ることはしなかった。
結局、無駄な時間ロスは多少あったものの、確実に近付いていることだけはなんとなく分かった。
「お兄ちゃん……お姉ちゃんこの町にいると思う……」
その言葉で俺は緩みかけていた気を引き締め直す。
ここは入ってみた感じ大きな町だということはわかったが、それが何処かということまでは不明だった。
移動を始めてまだ一時間も経っていないが、距離は軽く数十キロを走ったと思う。
【ブースト】による体力とスピードを上げていなかったら、ここまで走ってこれなかっただろうし、ここまで速くつかなかっただろう。




