どうせ、先生と呼ばれているあなたも、この質問には答えられないんでしょ?(威圧)2
どうせ、先生と呼ばれているあなたも、この質問には答えられないんでしょ?(威圧)の続編です。
私は思いついた。木村先生がイヤがる質問を。
これなら、絶対に困るだろう。
今度こそ、困らせてやる。
先生、なんていうかな? 楽しみ!
私は木村先生のもとへ向かう。
「おや、小田くんじゃないか。まってたよ。また、イヤな質問をしにきたのかい?」
木村先生は、懲りないねえ、と呟いたが、嬉しそうでもあった。
「そうだよ。先生を困らせるために、来たの。」
私はニコニコしながら言う。
「ははっ。そうかい、そうかい。で、今回の質問は何だい?」
木村先生は、笑っている。
私は、その顔を、ひきつらせるために来たんだ。
ふふっ! 余裕なのも、今のうちだよ。
「ねえ、先生は好きな人いるの?」
私は先生が独身であることを知っている。
それに、きっと先生は、私が恋愛の質問をしてくることは、予想してないはずだ。
私は、ニヤリとする。
「ええ!? 好きな人かい?」
木村先生は、予想外の私の質問に、目を見開き、驚いている。
いいねえ、その反応! その反応が見たかったんだよね!
「そうだよ。あれれ? もしかして動揺してる?」
私は先生を挑発する。
「いやあ、それは、まったく予想してなかった質問だなあ。」
まいったなあ、というように木村先生は頭をポリポリとかく。
「まさか、答えられないなんて言うつもりないよね? あ、みんなが好きなんていう答え、もちろんダメだからね!」
私は先生の逃げ道をなくし、追い込む。
「いやあ……。」
「あれ、この間、『大事な生徒からの質問だからねえ。僕が、答えられるなら、答える。それが教師だからねえ』って、言ってなかったっけ?」
私は木村先生のモノマネをして言った。
「う、いやなところをついてくるねえ。さすが、小田くんだ。確かに言ったね! ……うん。うん。答えよう。」
木村先生は顔を赤くして、声を小さくしていった。
「……黒田先生……だよ。」
「え!? あの化学の先生!? そうなの!? 面白いこと聞いちゃった!」
「あああ! だ、誰にも言わないでくれよ! 片思いなんだから……。」
木村先生は焦っている。
その様子が面白くて、ニヤニヤしちゃう。
私は「えー、それは、わかんないなあー。」と意地悪を言う。
まあ、言うつもりなんてないけどね?
木村先生は、「まさか、そんな質問が来るとはなあ……。」とぶつぶつ言っている。
「私の勝ちだね!」
今回は私の圧勝だ! 私はそう思った。
「また、イヤな質問しに来るから、まっててね!」
私は明るく言う。
木村先生は、「えええ、またかい?」と返した。
先生は前回と違って、ちょっと嫌な顔をしていた。
また、木村先生を困らせに来よう。次の質問、考えなきゃ。
ふふっ。
私は笑顔でその場を去っていった。
この物語を読んでいただき、誠にありがとうございます。
この物語は別小説「傍観者」に登場する筆者のお気に入り人物「小田さゆり」が、もし普通の高校にいたら、という題材で書いた物語です。(「傍観者」本編とはまったく関係ありません。)