魅力的なストーリー、魅力的なキャラ
2018年11月18日のツイートを元にしています。
https://twitter.com/cityborderfront/status/1064020918702288896
大筋は変えていませんが、結構加筆修正はしていますね。……千字を超えると、あまりツイッターぽくないような(笑)
――気をつけねば!
魅力的なキャラをどう書くか、以前そんな話題を見かけました。確かに一つの話題だと思います。だけど、実は考え方が真逆ではないか、そんなことをふと思いました。
作者が考えなくてはいけないのは、「魅力的なキャラをどう書くか」ではなく「キャラの魅力をどう読者に伝えるか」ではないかな、と。
魅力的なキャラが物語を紡ぐ、その考え方が間違っていると断言することはできないと思います。だけど、私は往々にして、「キャラをより魅力的に見せるための話」や「そのキャラを魅力的に成長させる話」を考えます。
こういった考え方をする作者、結構いるのではないでしょうか?
キャラが主でストーリーは従になることって、意外と多いのかなと。
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「魔女の血、絵描きの血、パン職人の血。神様か誰かがくれた力なんだよね。おかげで苦労もするけどさ」
私の好きな作品「魔女の宅急便」の名言です。
この言葉に力を与えているのは何でしょうか?
ストーリーでしょうか?
――私はそうは思いません。
キキやウルスラといったキャラや、魔女の宅急便という作品の世界感、魅力的なそれらが、この言葉に力を与えている、そんな風に思います。
◇
では、ストーリーはいらないのでしょうか。――多分、そうではない。キャラや世界感に、魅力という名の力を与えるのがストーリーだと思います。だから、「魅力的なキャラをどう書くか」ではなく、「キャラが魅力的に見えるストーリーはどんなストーリーか」を考えなくてはいけないのかなと。
例えば、キキという登場人物の紹介文を見て魅力的だと思う人は、どれだけいるのでしょう。他のキャラもそうです。あの作品に出てきたのは皆、普通に生活して普通に生きている、そんな人たちでした。
人にはそれぞれ魅力がある。だけど、言葉で説明するのが難しい魅力もある。それを伝えるためにストーリーはあるのだと、そんな風に思います。
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先の名言は、単独では、決して一般受けする言葉ではないと、私は思います。「魔女の宅急便」という作品を知らないと正確には理解できない、そんな言葉かなと。その言葉に説得力を与えているのは、魔女のキキや絵描きのウルスラというキャラたちです。
魔女の宅急便という作品のストーリーが彼女たちに魅力を与え、彼女たちの魅力が「魔女の血」「絵描きの血」という言葉に、説得力を与えている、そう思うのです。
あの名言は、魔女の宅急便という物語が無いと意味が正確に伝わらない、作品ありきの言葉です。それはきっと、ありきたりな言葉ではありません。だからこそ、あの言葉は魅力にあふれる名言なのだと思います。
キャラの魅力、世界の魅力、それらは作者が思い描く魅力で良いのです。作者は一般受けするキャラなんて考えなくて良い、ただ、どうすればより多くの人にその魅力を伝えることができるか、それだけを考えればいいのだと思います。――そのために物語を綴るのだと。
作者が自由に思い描いたキャラが活躍する場面、作者の考えた美しい世界が見せる風景、そういったものを考えて、それらを余すことなく説明できるストーリーを考える。
そうすればきっと、その物語に出てくるキャラや世界の魅力は読者にも伝わる、そんな風に思います。