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見せ場と開幕ダッシュ

2021年7月17日のツイートを元にしています。


https://twitter.com/cityborderfront/status/1416087834885124097


冒頭を多め加筆。あと文中も少し修正しています。まあ、やっぱり大筋はそのままです。


 私は先日、再来月に連載を開始する予定の長編を、第一話だけ先行公開するということをしてみたのですが。その第一話目、物語のクライマックスを冒頭に持ってくるという、いわゆる「ホットスタート」というのをしてみました。


……まあ、過去にも何度か、物語の先の場面を持ってきたりしたことはあるので、今回が特別という訳でもないですが。フィリちゃんの物語なんて、第一章のタイトルが「予告編 始まりの一幕」でしたし(笑)


 といいつつもまあ、今回はアクションシーンによるホットスタートではなく、恋愛ドラマ的なホットスタートなのですが。


 このホットスタート、単に「見せ場を前に持ってくる」という考えで行うと失敗するのかなと、そんな風に思います。


  ◇


 見せ場の面白さというのは、基本的に「伏線回収の面白さ」です。それまで伏線を張ってこの先どうなるだろうと読者に思わせておいて、それを一気に回収する。見せ場の面白さというのはそういう、物語の構成から生まれる面白さです。だから、その見せ場を冒頭に持ってきても、「見せ場としての」面白さは皆無だと思います。……なにせ、読者をわくわくさせるような伏線が皆無ですから(笑)


 ただ、何の伏線も無い状態で見せ場を見せると、本来必要だったはずの伏線が、全て「謎」になります。そうですね、、かなり強い「謎の提示」として機能することになるのかなと。


 一番近いのはミステリの「冒頭で死体を転がせ」でしょうか。冒頭で死体を転がしても、「なんという死体だ!」なんて驚く読者は多分いないですよね。あれは、冒頭に死体という「謎」を持ってきて少しずつ解き明かしますよと宣言することで、伏線を「謎解き」の楽しさに変換している訳です。


 ミステリを推理して読むのも楽しいですが、別に推理しなくたって、少しずつ謎が解き明かされていくのも楽しいじゃないですか。謎というのは、読者が物語を読み進めていくための、かなり強い推進剤として機能します。


 まあ、同時にネタバレで一気に興ざめしたりするという側面もありますが。


  ◇


 要するに、見せ場を先に持ってくるというのは、「見せ場を先に持ってくることで、見せ場としての面白さ(伏線回収)を捨てて、代わりに謎を埋め込んで初回を面白く読ませるための推進力に変える技術」になると思います。


 もっとシンプルに言えば、「見せ場を先に持ってくる=物語のミステリ化」になるのかなと。


  ◇


 なのでまあ、見せ場を先に持ってくる場合、その場面を面白く書こうとするよりも、読者の負担にならないように、いかに「謎を埋め込むか」に興味を持ってもらうにはどうすれば良いかを考えて書いた方が良いと思います。


「その場面を面白くするために必要な伏線」が「謎」に変わることを、ちゃんと意識して書く。見せ場としての面白さは複数の伏線が綺麗に回収されることですが、謎を推進力にする場合はそうじゃない。数は少なくてもいい、ただ「これは読者が気になるだろう」ということを確実に意識させる方が大事です。


 そのためには、登場人物は絞った方が良いし、何を気にさせるのかもしっかりと意識した方が良いと思います。そうすれば文字数も減って、一石二鳥になるのかなと。


……まあ、それでも結局のところ、「あまり面白くない場面を冒頭に書く」という結果になりがちですし、「そういったことに付き合ってくれる、楽しんでくれる読者を探す」ことの方が大事なのかな、なんてことも思ったり。


 まあ、許容されてる技術(書き方)もあるし、マッチングだけでも無いとは思うけど。ただ、結局は、相性のいい読者がいると作者は幸せだねと、うん、そんな結論になったところで(笑)


 うん、以上です。

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