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異世界で手にしたのは万物を生み出す力でした  作者: Fate
1章 異世界と創造と拒絶
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31 テネシン防衛戦 終戦

「そういえば、ヘル・ケルベロスを私にやらせた理由って何ですか?それに死体が残らず消えましたけど・・・」

「確かにケルベロスもヘルの方も死んだら消えていたな」

「ああ、死体が消えたのは還ったからです。ケルベロスは死ぬとハデスのところに還り、新しい体を貰うんだそうです」

「へえ、そうだったのか。初めて知った」

「あれ、アルゴンさんなら知ってると思ったのですが」

「俺は狩る専門だ。詳しいことは知らん」

「そうですか。で、ヒナさんにヘル・ケルベロスをやらせた理由ですが」

「実はあいつ」

「「滅茶苦茶硬い(のです)」」

「斬っても叩いてもなかなか死なず」

「魔法は燃やしても意味なし、氷は溶かす、水は蒸発という」

「なるほど、だから陽菜にやらせたのか」

「はい。瞬間の火力ならこの中で一番高いですからね」


まさか、たった一回の攻撃でそこまで見抜くとは・・・Aランクって肩書だけじゃないんだな。


「誰かさんが俺の剣を壊したからな。また買いなおさないといけないな」

「アホ抜かせ。お前が襲わなきゃオレだって何もしなかったぞ!」

「だからといって壊さなくたっていいだろ!」

「ライアン、お前が悪い。文句を言わないでください」

「ディラン!お前までそっち側か!?」

「逆に聞くが誰がお前の味方になるんだ!!」

「いい加減喧嘩はやめろ。もう街に着いたぞ」


・・・っと、もう着いたのか。思ったより早く着いたし、早く終わったな。まだ日が落ちてないし。


「・・・・門番!扉を開けろー!!戦は終わったぞー!!」

「「「今開けまーす!!」


中から嬉しそうな声と共に重そうな扉がギギギッと開いていく。見えたのは・・・大量の人だった。


「帰ってきたぞー!」

「前より早く終わったわね!」

「英雄たちの帰還だー!」

「もう終わったのか!凄いな~!」

「今日は宴だパーティーだ!」

「街を守ってくれてありがとう!」

「本当に王都の騎士団が来る前に終わらせた!」

「さっすがAランク!」

「あら、Bランクのアスタ様達だって活躍したに決まってるわ」

「いやいやシャルロット様だって」

「・・・あれ、アスタ様は何処に?」

「いない・・・ぞ?」

「なんで”紅の流星”達がいないんだ・・・?」

「まさかっ・・・!」

「そんなっ・・・!」


・・・・・・・・あっ、なんか忘れてると思ったらアスタ達か!<絶対防御結界>を解除しとこう。





 ◇ 同時刻 アスタ達一行


「あ、結界が解除された!」

「穴も掘れるんですぜ!」

「いや穴は掘らなくていいだろ」

「ねえ見て!ゴールドボア、シルバーボアの死体があるわよ!ボア・キングのも!持って帰ろうよ!」

「「「「・・・誰が運ぶ(のかしら)(んですぜ)?」」」」

「クロリド、君はゴールドボアを運んで。それくらいなら持てるでしょ?」

「いやまあ出来ないことはないですぜ・・・・?」

「ヘルクとアスタはボア・キングを。ヘルクが後ろでアスタが前。盾に乗せれば持てるはずよ」

「・・・うん、分かった。やってみるよ・・・」

「しょうがないわね~」

「私はシルバーボアを運ぶ。・・・・これが一番肉がしっかりしてるわね」

「シャルロットお姉さま、私は?」

「エマちゃんは・・・私のを手伝って?」

「うん、分かった!」


意外と大丈夫そうな、彼らだった。




 ◇ 視点は元に戻って隼人達 冒険者ギルド


テネシンに戻って最初に向かったのは冒険者ギルドだった。ディランとライアンは既に別れた。というかオレたちが呼ばれたというだけだ。尚、別れ際に「終わったら”火焔亭”という店に来てください。道はその辺の人にでも聞いてください」そしてギルド内にいるのはオレと陽菜、アルゴンにロマーヌの4人だけだ。


「・・・さて、今日のテネシン防衛戦、君たちのおかげで思ったよりも早く片付いた。ディランとライアンのAランク組は強いが、今回の戦いでは力不足だった。まあ最後の方は予想出来なかったが」

「で、お二人には何か褒賞をあげたいのですが・・・今のテネシンはちょっとした事情でそんなに高い物はあげられないのです」

「渡せるのはせいぜいCランク昇格ってところだ。けどこれじゃあ少なすぎるんだ。ハヤトは大量のコボルトの掃討、嬢ちゃんはたった一撃でボア・キング並びにヘル・ケルベロス討伐という偉業を成し遂げた。普通ならAとかBランク入りしてもおかしくない。・・・・が、こっちにも色々あってそれもできない」


なるほど・・・要するに・・・・


「要するに、出来ることならもっと色々あげたいってことか?」

「まあそういうことだな」

「分かった、ちょっと待ってくれ。陽菜、少し話そうか」

「え、あ、はい」


陽菜を連れて部屋の片隅に移動する。・・・ランクって取れる依頼の幅が増えるだけでそんなにメリットないよな・・・だけどあれは何か言って受け取らないと帰らせてくれないパターンだ。さて、どうするか・・・


「隼人君、どうしましょう。あれ絶対に何か渡さないと気が済まないパターンですよね・・・!?」

「同感だ陽菜・・・ランクは無理、高いものも無理、どうしろと・・・?」

「あ、そうだ。今の私たちに足りない物って何ですか?」

「足りないもの?」

「はい。それを頼めば納得してくれるのでは?」

「なるほど・・・武器はあるし、服は大丈夫だし、鎧は付けられないし・・・」


二人とも、サイズの問題だ。


「あ、王都までの馬車とかどうですか?」

「それいいな。それにしよう」


よし、隅っこでの小声会議終了。立ち上がってアルゴンに言ってみるか。


「決まったか?」

「ああ。王都までの馬車。片道分」

「「片道?」」

「はい、片道です」


・・・あれ、なんでアルゴンとロマーヌ、固まっているんだ?


「片道ってどういうことだ?」

「読んで字のごとく行きの分だけってことだが?」

「もしかしてもうテネシンに帰るつもりはないの?」

「やることがあるから」

「そ、そうか・・・」

「残念ですね・・・」


なんか、すっごく残念そうな顔された。・・・・・・もしかして・・・


「もしかして・・・ずっとここにいると思っていたのですか?」

「というか、いてくれると物凄くありがたい。圧倒的に人材不足な今のテネシンならな」

「まあ想像はついていたのですが。登録の時にチェックがついていなかったので」

「いや何があったんだよ。というかそんなこと書いてあったのか」

「悪いが、詳しいことは言えない。君たちは部外者だからな」

「そりゃそうか。で、馬車、用意してくれる?」

「いつまでに?」

「出来れば明日のお昼ごろにお願いします」


いつにするか、と相談する前に陽菜が答えてしまった。


「どうして昼なんだ?」

「なんとなく、急いだほうがいいかな~って思ったので」

「つまり、直感だな?」

「はい、そうです。アルゴンさん」

「そうか。・・・ロマーヌ」

「大丈夫、候補はあるわ」

「分かった。それじゃあ明日の昼、東門前な。その時にCランクのカードも渡すから」

「頼む」

「お願いします」


まあいっか。あっちも納得してくれたみたいだし。それじゃあ”火焔亭”に行くとしますか。





 ◇ 同時刻 シャルロット達一行及びその付近


テネシンの街の外、東門側にシルバーボア、ゴールドボア、ボア・キングの死体が移動しているのが目撃された。しかも、浮いて、移動しているのだ。遠くから見ると不気味でしょうがない。またかと慌てた街の住人は門に比較的近くかつ現在の最高戦力の冒険者達に応援を要請した。すなわち、ディランとライアンだ。


「浮いている、ということはアンデット系か?もしかしてレイスか?」

「ったく、人が気持ちよく酒を飲んでる時に出てくることもねえだろ・・・」

「おい!なんかアルコールのにおいがすると思ったらお前だったか!」

「いいじゃねえか!酒の1杯や10杯くらい!」

「そんなに飲んだのか!」


浮いているボアの死体の正体はレイスじゃない。引きずらずに運ぶシャルロット達だ。


「見えてきたー!ねえ!見えてきたよ!」

「安心・・・しろ・・・見えてるから・・・」

「お姉さま、肩が・・・」

「あっしなんて・・・一人で運んでいるんですぜ・・・?」

「・・・・・・どうか神よ、テネシンまで無事に着きますように・・・」


シャルロット以外、皆テンションが低かった。しょうがない、戦闘の後に空腹、重量があるものを引きずらずに持っていくわけだから腰も痛くなる・・・おまけにそこそこの距離。そんな状況なら誰だって疲れるし嫌になってくる。ヘルクなんて歩きながら、担ぎながら聖職者らしく普通に(・・・)祈り始めた。


「嬉しくないのー?」

「眠い・・・」

「お腹空いた・・・」

「酒が飲みたい・・・・ですぜ・・・」

「・・・・・・・・・神よ・・・」


シャルロット以外壊れてきた。しょうがない。ヘルクなんて聖職者らしく普通に(・・・)神に縋りつき始めた。


一方、ディランとライアンはというと・・・


「お前が酒を一度飲み始めると仕舞には樽で飲むじゃないか!!一体いくらするんだと思っているんだ!!しかもそれ払うのは私だぞ!!」

「だって俺の金管理しているのはお前じゃないか!!」

「前にたった一日で報酬の100ギガ使い切ったじゃないか!!何をどうやったら消えるんだ!!100ギガ!!たった一日で!!」

「だ・か・ら!それは前に何度も説明しただ・・・ろ・・・・ああ、人か。レイスじゃないぞ。良かったな」

「何?・・・本当だ。人だな。街の皆さん!あれは敵ではありません!”紅の流星”の人たちです!安心してください!」


なかなか帰ってこない彼らが戻ってきたと分かった途端、テネシンの人々は狂喜乱舞した。いや、している。その発狂ぶりはもちろん彼らにも聞こえていた。


「街が騒がしいわね。なにかあったのかしら?」

「どうせ誰かがなにか言って喜んでいるんじゃないか?こんなご時世だし・・・」

「あと・・・少し・・・?」

「あと少し・・・ですぜ・・・」

「・・・・・・・・・」


シャルロットは騒がしいが他はもう意気消沈している。いやもうこいつら彷徨う死体なのではないか?というレベルだ。ヘルクなんて、沈黙している。




もう少しといいつつ、なかなか着かない。彼らは一体いつ着くのだろうか・・・・

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