2 万能スキルと決断
さて、ここが異世界ということを認めたくはないが、認めるしかないだろう。うん、そういうことにして割り切ろう。そうしよう。と、自己暗示したところで脳内に何かの情報がいきなり流れてきた。情報の波が終わったところに突如テーッテッテテーと音楽が流れ、『<EXスキル:創造>を手に入れました。<EXスキル:拒絶>を手に入れました。』とどこからか声が聞こえた。それと同時に先ほどまでの頭痛がなくなった。さて、彼女の方はというと・・・ちょうど今終わったらしい。にしてもこの世界には<ステータス>と呼ぶものが存在しているらしい。「<ステータス>」と口にするとこんなものが頭の中に出てきた。
名前:隼人・氷川
レベル:1/500
HP:700
MP:1500
Str:120
Agi:60
Vit:30
Int:120
Dex:50
Luk:30
スキルポイント:0
スキル
・<EXスキル:創造 Lv1>
・<EXスキル:拒絶 Lv1>
・・・ゲームかよ。というかレベル1でこのステは中々壊れているのではないか?特にIntとStr。そんなこと考えていると、
「こ、氷川君」
「ん?なんだ?というか誰だっけ」
「私は高町陽菜です。それであの・・・これは一体・・・。」
「オレが知るわけないだろ。ただ分かっているのはここが異世界ってことだな。それはそうと、お前には聞きたいことがある。もちろん答えたくないものは言わなくてもいい。」
「うん・・・」
「それじゃあ早速、<スキル:創造>、発動!」
そうすると脳内にこんなものが現れた。
作成物:スキル・物・防具・武器・魔道具
オレは物を選択し、椅子2脚とパラソル一つを念じた。このスキルはMPを代償に様々なものを作成できる。そしてオレが死ぬか、削除と念じるまではずっと存在し続けるらしい。なんて便利なんだ。ちなみに今のでMPが1500から1440に減った。一つのものを作るのにMPを20消費するみたいだ。そして毎秒1ずつMPが回復している。早いのか遅いのかよくわからないな・・・。とりあえず先ほど出した椅子を置き、パラソルをさして陽菜を座らせる。
「氷川君、今のは・・・」
「スキルだ。それと隼人だ。」
「えっ」
「どうした?陽菜?」
「い、いえ別に・・・」
なぜか陽菜は嬉しそうな顔をしていた。そんなに座りたかったのか?そんなことを考えながらもスキルを使いティーカップ2つとテーブル、ティーポッドを出す。お茶を陽菜の前に差し出す。飲んでみるとこの紅茶、とてもおいしい紅茶だった。陽菜も躊躇いつつも飲むようだ。そして驚いたような顔をしていた。
「おいしい・・・」
「確かに美味い。それはさておき、早速質問に移させてもらう。」
「は、はい!」
「まず一つ目、どんなスキルを手に入れた?オレはさっきみたいに作り出すスキルと消すスキルだ。」
「私のは集束して解放するスキルみたいです。正直自分でもよくわかりません。」
「なるほど。次に2つ目、なぜオレのあとをつけていた?」
「それは・・・秘密です・・・」
「そうか。それじゃあ最後の質問だ。オレと一緒に来ないか?もちろん断ってもいい。途中で帰還方法が分かったとしてもオレは君を止めない。おそらくしばらくの間は長い旅になるだろう。オレと旅をすることを選ぶならオレは君を守るしなるべく君の願いも叶える。自分で選べ。」
これにはいくつか打算がある。オレの予想が当たっているなら彼女のスキルはとても強力だ。また、彼女は美人なのでいろいろと使える。もちろん彼女が望まないことを強制させることはしないが。さて、どうするかな?
「お願いします。」
即答だった。
「ならここからの行動方針は決まりだな。俺たちはこれから町へ行くとするか」