しつこいって。
「佳澄〜!」
私は放課後、生徒会活動中の佳澄を見つけて話しかけた。
「なに?」
笑顔で返してくる、佳澄。
「あ、そういえばさ、麻衣のことなんだけど」
「うん?」
私が話しかけようとしていた内容を、佳澄から持ちかけてきた。
「直接細谷先生に聞いて見ちゃおうよ」
なんですと!!!!!!
そんなやりかたもなくはない。
けど…。
佳澄は大胆だな。
「絶対気づいてるよね…」
気づいてるとわかってるとはいえ、実際に聞いてみるとなると、先生の反応はどうなるんだろうか。
「あ」
生徒会室のドアが開いて、細谷先生が出てきた。
「ちょうどいいや。細谷先生」
佳澄が声を掛ける。ためらいが全くない。
でもまぁ、先生やみんなに信頼されている佳澄だ。
だから生徒会役員なんだし…。
大丈夫かな。
「率直に言いますと、先生のこと好きな子がいて、ガチな方で好きみたいで、相談というかのろけというか、そういうのされてすごい困ってるんですよね」
本当にそのまま、佳澄は真実を先生に伝えた。
「え」
先生がいつもの、困り笑いの顔をする。
「先生、誰だかわかってますよね?」
私も言いたかったことを言えた。
「まぁ」
やっぱり!
「どうすればいいんですか」
「たすけてください」
そう言ったのは、私と佳澄の質問攻めに困った細谷先生。
顔を傾け、私の方を見て、何とも言えなくなるような表情で。
「たすけてください」
もう1度、先生は言う。
一瞬、沈黙が流れて、
「たすけてって言われても」
破ったのは私だ。
「がんばってください」
なんだがんばってくださいって。
先生になにをがんばって欲しいんだろう。わけがわからない。
先生と話すと、毎回のように自己嫌悪を感じる。
「がんばってって…」
先生が呟くみたいにいう。
「嫌なんですか?」
佳澄の質問攻めが再開する。
「いやって、」
「ちょっとでいいんで、手を振り返してあげればいいんですよ。それだけで喜ぶから」
さらに困った顔をする先生。
「手を振る意味がわからない」
ちょっとしてから先生は、いつもの授業中の先生になって、そう言った。
「好きじゃなんでね。それに、しつこい子も好きじゃないです」
では、サヨナラ。
サヨナラを笑顔ですごい早口で言って、先生はどこかへ行ってしまった。
私は佳澄と顔を見合わせて、笑った。
読んでくださってありがとうございます!!
これからもお願いします(・v・)。
久々の投稿…