表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先生と、私。  作者: 南央
8/51

しつこいって。

 「佳澄〜!」


 私は放課後、生徒会活動中の佳澄を見つけて話しかけた。


 「なに?」


 笑顔で返してくる、佳澄。


 「あ、そういえばさ、麻衣のことなんだけど」


 「うん?」


 私が話しかけようとしていた内容を、佳澄から持ちかけてきた。


 「直接細谷先生に聞いて見ちゃおうよ」


 なんですと!!!!!!

 そんなやりかたもなくはない。

 けど…。

 佳澄は大胆だな。


 「絶対気づいてるよね…」


 気づいてるとわかってるとはいえ、実際に聞いてみるとなると、先生の反応はどうなるんだろうか。


 「あ」


 生徒会室のドアが開いて、細谷先生が出てきた。


 「ちょうどいいや。細谷先生」


 佳澄が声を掛ける。ためらいが全くない。

 でもまぁ、先生やみんなに信頼されている佳澄だ。

 だから生徒会役員なんだし…。

 大丈夫かな。


 「率直に言いますと、先生のこと好きな子がいて、ガチな方で好きみたいで、相談というかのろけというか、そういうのされてすごい困ってるんですよね」


 本当にそのまま、佳澄は真実を先生に伝えた。


 「え」


 先生がいつもの、困り笑いの顔をする。


 「先生、誰だかわかってますよね?」


 私も言いたかったことを言えた。


 「まぁ」


 やっぱり!


 「どうすればいいんですか」


 「たすけてください」


 そう言ったのは、私と佳澄の質問攻めに困った細谷先生。

 顔を傾け、私の方を見て、何とも言えなくなるような表情で。


 「たすけてください」


 もう1度、先生は言う。


 一瞬、沈黙が流れて、


 「たすけてって言われても」


 破ったのは私だ。


 「がんばってください」


 なんだがんばってくださいって。

 先生になにをがんばって欲しいんだろう。わけがわからない。

 先生と話すと、毎回のように自己嫌悪を感じる。


 「がんばってって…」


 先生が呟くみたいにいう。


 「嫌なんですか?」


 佳澄の質問攻めが再開する。


 「いやって、」


 「ちょっとでいいんで、手を振り返してあげればいいんですよ。それだけで喜ぶから」


 さらに困った顔をする先生。


 「手を振る意味がわからない」


 ちょっとしてから先生は、いつもの授業中の先生になって、そう言った。


 「好きじゃなんでね。それに、しつこい子も好きじゃないです」


 では、サヨナラ。


 サヨナラを笑顔ですごい早口で言って、先生はどこかへ行ってしまった。


 私は佳澄と顔を見合わせて、笑った。

読んでくださってありがとうございます!!


これからもお願いします(・v・)。


久々の投稿…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ