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先生と、私。  作者: 南央
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先輩、あげます、わたし、先輩に。

先輩が、慣れたようにわたしの制服のボタンを外していく。


「ほんとに……いい?」


頷く。


ボタンを全部外し終えた先輩が、私の肩から す、とワイシャツを下す。


不思議と、恥ずかしいとは思わなかった。でも、嬉しいとも思わなかった。ただ、なんか少し遠いところで自分を見てるわたしがいて、あぁ、今までの女の子もこんな風にされていたのかな、なんて考えてる。


「鹿乃」


先輩が、ぎゅっとわたしを抱きしめる。

わたしもそっと先輩に手をまわす。あ、思ったより、ぎこちなく動かせたな。あれ、わたし、こういうことする相手、先輩が初めてじゃないんだっけ。あれ。気持ちがないと、緊張ってしないんだな。


先輩の手がわたしの背中で つつつ、と動いて、少し擦れた感じがして、あ、そんな簡単に外せるんだ。すごいな、なんて、わたし自分でもそんな風に外せないや、なんて。


「慣れてますね」


言おうと思ったわけでもないのに、自然と口から出てきた言葉。


先輩は、一瞬動きを止めて、


「…………ごめん」


そうわたしの耳元で囁いて、わたしは抱きしめていた先輩の腕から解放されたと思ったら、そのまま押し倒され、先輩に唇をあずけていた。


「…………っん」


「なにその声、」


先輩がわたしの上で、見下ろしながら、言う。


「鹿乃、ほんとに付き合うの、俺が初めて? ほんとにキスするの、俺が初めて?」


「あたりまえじゃないですか」


そう、あんなのは、カウントされない。なかった。先生と、キスしたなんて、細谷先生がわたしに触れて、細そうに見えて実はしっかりした男の人らしい腕でわたしを抱き寄せて、それでもやっぱり先生らしい、優しいキスをしたこと、なんて、そんなのなかった。




「じゃあ、鹿乃の初めて、全部俺がもらっていい?」



「先輩が、いいです」


先輩を、じっと見つめ返す。


「初めては、全部、先輩がいいです」



どうか、嘘がばれませんように。

上手にできていますように。



先輩がわたしをきつく抱きしめる。重い。


下の方で、先輩から不自然に当たってくるものがあって、あ、ばれてない。信じてくれてる。大丈夫だ。そう思った。



「できるだけ、優しくする」



一呼吸置いて、



「でも、余裕ないかも。痛かったら、ごめん」


「大丈夫です」


わたしはわざと、か細い声で言った。


「先輩、…………だいすき」


「……鹿乃…………!」


あぁ、これで大丈夫だ。きっともうどう間違えても後戻りできない。初めてを、ふいにするんだ。それで、先生とのことも、ぜんぶ忘れるんだ。こうなったのは、わたしがこんなことするのは、わたしのせいじゃない。先生のせいだ。先生がいけないんだ。ぜんぶ、ぜんぶ、ぜんぶ、先生がわるいんだ。先生が、先生が、先生が、先生が_________

きねんすべき(?)第50話。こんなに書くとは思ってなかった。長く書き続けすぎてて笑う。こんなの読んでくれる人いるんですね…ありがとうございます……

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