表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先生と、私。  作者: 南央
48/51

おいしい。

「お待たせいたしました」


わたしの前にはミルクレープと抹茶ラテ、先輩の前にはいちごタルトとバナナオレ。


「いただきます!」


「い、いただきます」


先輩につられて手を合わせる。

緊張する手でフォークを持って、ミルクレープの先をじっと見つめて、それからフォークを入れて…。


わたしの口まで、あと30センチ、あと20センチ、あと5センチ、あと2センチ、あと0.5センチ…………0!


「おいひい……!!」


美味しすぎて、思わず。


ちょうどいいクレープ生地のしっとり感、ほどよい甘さの生クリーム、ところどころの層に挟まるカスタード……ケーキの先端部分なのにぞんざいな感じがしなくて、口に入れた瞬間に重なっていた生地が崩れていく感じすら心地よくておいしい……。


「ん、めっちゃおいしそうに食べるのな」


笑顔でわたしを見ている海智先輩。


「わっ……見てたんですか! って、海智先輩まだ食べてないじゃないですか、食べてください、わたしなんて見てないで……」


「あんまりおいしそうに食べるから、一口目は鹿乃にあげる」


最高に優しい笑顔。この笑顔に今まで何人の女の子がやられてきたんだろう……。


「はい、あーん」


「んっ」


ま、待って、これは、その、あーんって、その、ラブラブなカップルがするものだって、わたしは思ってて、え、あ、あ、


「はいっ、ぱくっ!」


抵抗するすべもなく、まんまとあーんさせられてしまった。でも、いちごタルトもすごくおいしい…。


「本当においしそうに食べる」


海智先輩は満足そう。


「おいしいです! でも急にあーんはなしですよ……!」


「でも、おいしかったんでしょ? 結果オーライ?」


「お、オーライですっ」


「また、連れてきてあげる」


おっ、これほんとにうまい! なんて言いながらケーキを食べる海智先輩も

、なかなかおいしそうな顔をして食べてる。


「鹿乃のもちょうだい?」


「…………!!」


恥ずかしいのを悟られないように、ミルクレープをフォークに乗せて先輩の口へ運ぶ。


「ありがと、おっ、こっちもうまい!」


ほんとうにおいしそうに食べるなぁ……わたしといい勝負なきがする。


なんて思いながら海智先輩を見ていたら、少し真剣な顔になって、わたしの顔をじっと見つめて、


「あーんだけで緊張してた? ほんとうにかわいい。俺が、鹿乃の初めて全部もらっちゃいたい」






わたしは何も返すことができなくて、テーブルの下でぎゅっと手を握りしめた。

海智くんちょっときもくない?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ