今までありがとう。
「みなさん本当に、今までありがとうございました」
先生が、校庭でマイクを使って挨拶をしている。
私はそれを、3階の教室の窓から見下ろしている。
ありがとうございました?
今まで、本当に、って…?
状況が呑み込めない。
心臓が大きな音を立ててバクバクいってる。
「細谷先生ー、今までありがとうー!!」
知っているような知らないような声が言った。
校庭には先生が通るための花道が作られてる。
先生が近くを通ると、そこにいる生徒たちが握手を求めたりハイタッチしたり、女の子には手紙を渡している子もいる。
「先生、ずっと忘れないよ!」
「国語、細谷先生じゃないなんてやだー…!!」
私がいる場所から校庭まで距離があるのに、なぜか聞こえてくる、声。
「ありがとうございます」
細谷先生の、声も。
大好きな、声。
「先生ー好きだよー!!」
友達と笑いながら言う子。
バクバクしてたのが、もっと苦しくなる。
「私も好きですよ」
先生の、笑顔。
私の大好きな、笑顔。
他の子に、好きなんて言わないで。
約束は……?
私は急いで駆け下りて校庭に行って、先生に抱きつきたいと思った。
でも、体が動かない。
「さようなら」
「私も忘れません」
「そうですね」
私の大好きな声で、笑顔で、1人1人に丁寧に返す先生。
その声が、だんだん遠ざかっていって、聞こえなくなっていく。
せめて、私の声が届けば。
「……先生!!」
声を出そうとしたのに、
出なかった。
久しぶりすぎて…
これからもお願いします( ˘╰╯˘)♡*゜




