国語係。
昼休み。
特にやることのない私と若菜(スカート丈が短くて生活指導に注意されていた子)は、校内をウロウロしていた。
「明日の予定聞きに行く?」
若菜が言った。
「あぁ、そっか。うん」
私と若菜は国語係で、国語がある前日に次の授業内容を聞きに行く仕事がある。
国語教師が細谷先生だから、国語係。
ただ、単純にそれだけ。始めは本当に、ただ単にそれだけだった。
若菜に、というか誰にも、私は細谷先生が好き、と言ったことがなかった。
先生を好きな気持ちを誰かに知られたら、私の心はきっとおかしくなるんだろうと、いつも思う。
それが、当たり前のように。
「失礼します」
お辞儀をして、職員室に入る。
「3組の国語係です。細谷先生お願いしまーす」
はい、と言って丁寧に席を立ち、細谷先生はこっちにやってきた。
「明日の国語の予定は…」
「明日…3組は…」
ペラペラと、手持ちの紙をめくっている。
私はそんな細谷先生を、下からこっそりと見る。
あれから、私は細谷先生の前で、あまり喋れなくなった。
「いつも通り。あと、漢字テストやります」
先生は、最近、何を考えているか、わかるようなわからないような雰囲気を出している。
細谷先生は、授業を大切にする先生だ。
でも、最近は、めんどくさがるような態度をしている。
そんなことしてても、本当は授業を、生徒の気持ちを大切にしたいって思ってること、私にはわかるのに。
「ありがとうございました」
そう、言ったとき、やっぱり細谷先生は、私の目を真っ直ぐに見た。
私はそれに負けないようにまた、細谷先生の目を真っ直ぐ見た。
細谷先生は、丁寧な先生だ。
だから、好き。
読んでくださり、ありがとうございます!!
みなさんの想像している『先生』がどんな人だか気になります笑
ちゃんと伝わるように、がんばります(・v・)。