些細な心配。
前のように、2人で、相談室へ。
前と違うのは、2人の間に流れる空気。
「…先生」
呼びかけると、
「なんですか、佳乃さん?」
と、返ってくる。
佳乃さん。
「さっきは、」
「佳乃さんは、本当にいい友達を持っています。大切にした方がいいですよ」
なんで私の言葉に被せるの…?
「若菜は、私の、数少ない心の許せる友達です。大切にしないわけない」
ちょっと反抗的に言ってしまった。
「…ごめんなさい」
「大丈夫ですよ」
そう言って、先生は笑った。
「あなたを見ていれば、それはすごくよくわかります」
「本当ですか」
「ただ…」
先生は笑顔を歪めた。
「あのときいたのが、もし木村さんじゃなかったら…」
なかったら…?
「………はぁ」
先生はため息をついた。
それって、一体、どういう意味ですか?
もしかして、と嫌な言葉が思い浮かぶ。
「私たちは、やましいことをしているってことですか?」
やましい。
そんなこと、ないはずだけど…。
「そう、捉える人もいるでしょう。残念ながら」
「……そうですか」
「こんなこと言いたくはなかったのですが、もしこのことを少しでも不審に思い口にする人がいれば」
いないと、願いたい。
「こうやって会うことは、難しくなるでしょう」
嫌だ!
そう言いたいけど、先生を困らせたくない。
細谷先生の顔をそっと見つめると、先生の手が伸びてきて、私に触れそうになって…。
触れそうになって、触れなかった。




