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先生と、私。  作者: 南央
20/51

手と手が。

 「失礼します」


 職員室のドアを開け、お辞儀をする。


 2年生の先生たちがいるカウンターのところに行くと、すぐに細谷先生は見つかった。

 先生も私に気づく。でも、こっちにきてくれないのは、2年は今、職員室での振る舞いを正しくする、というのが学年目標だからだろうか。


 そういうところも好きだ。


 きっと、先生だったらなんでも好きだ。


 「細谷先生、お願いします」


 こっちを向いて、にこっと笑ってくれる先生。


 「ちょっと、部屋を借ります。長くなるかもしれませんが、大丈夫ですか?」


 「はい」


 手に、鍵と本を持っている先生。

 先生とだったら、いくらでも一緒にいたい。


 相談室の鍵を開け、中に招かれる。


 「話がありまして。そこに、座ってもらってもいいですか?」


 「はい」


 椅子に腰掛ける。

 テーブルを間に先生と向かい合う形になった。


 「もうすぐ、夏休みですね」


 窓の外を眺めて言う先生。


 「緑が、豊かになっていく」


 「前は、そういうこと言ってくれませんでしたよね」


 キョトン、とした顔をする先生。初めて見たかもしれない。

 可愛い…。


 「いつのことでしょうか」


 「1年生の3月に、『桜が咲きましたが、国語教師として一言お願いします』と言ったら」


 「…あぁ! それですか」


 覚えていてくれたんだ。


 一瞬立ち止まって、『さよなら』と早口に言って行ってしまった。


 「そうですね…。佳乃さんと2人だから言える、と思ってもらって構いません」


 ………私と、2人だから…?


 どういう意味だろう。

 先生、期待しても、いいんですか?

 いつもそうやって、意味深なことを言って、どきどきさせて…。


 ずるい。


 「とりあえず、本を渡しますね」


 話を変えられる。


 「ありがとうございます」


 手を伸ばすと、本を持った先生の手と、私の手が触れた。

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