呼び出しみたいな。
「佳乃さん」
国語の授業のあと。
「はい?」
先生に呼ばれてそっちへ向かう。
「放課後、職員室にきてください」
一見、呼び出しに見えなくもないかもしれないけど…。
「本ですか?」
「はい」
そう、先生が、私に本を貸してくれるんだ。
「笑顔ですね。何かいいことがありましたか?」
「…えーっと」
優しい笑顔で聞いてくる先生。
先生こそ、笑顔。
私の笑顔の理由は先生なのに、気づいてないんだろうか?
「本、借りられるのが嬉しくて」
言ってから、すごく恥ずかしくなる。
「本が好きなんですね」
「…はい」
先生って、鈍い?
本当にわかってないのか、あえて言わないのか。
私が笑顔なのは、大好きな先生に本を借りれるからなのに。
「いいですね。よく本を読む子は頭が良い」
「そうなんですか」
「佳乃さんは、国語についてはいつもがんばっていると思います」
…先生。
嬉しすぎて、今すぐ何処かへ走り出したい。
「とりあえず、放課後、職員室で待ってます」
「はい!」
先生は再びにこっと笑って、教室から出ていった。
久々ですね…
読んでくださってありがとうございます
これからもお願いします( ˘╰╯˘)