図書委員会だより。
図書委員会だより。
いつもはこういうプリントなんて、読まずに捨ててたけど、今回は違った。
先生おすすめの本、という記事で、細谷先生がインタビューされてたから。
見たことのないタイトル。
でも、よくよく調べてみると、直木賞受賞作家の作品だった。
読みたいな。
心の中は、そんな気持ちでいっぱい。
「先生」
ある日の休み時間。
若菜が病院(本当はずる休み!)で休んでいて1人で暇だった私は、細谷先生のところにむかった。
あれからも特に変わったことはなくて、ちょっと目が合う回数が増えたかな、という感じ。
私の勝手な思い込みかも知れないけど…。
「細谷先生」
誰もいない階段で、窓の外を見ながら立っている先生を見つけた。
「佳乃さん」
優しい笑顔で振り向く先生。
私の大好きな笑顔。
先生のいるところまで下りる。
さっきまで私の方が高いところにいたけど、同じところに立つと、やっぱり先生の方が全然高い。
見上げると優しい目と、目があってドキっとする。
「先生、このあいだ図書委員会だよりに載ってた本、あれ、読んでみたいんです」
先生のことを、もっと知りたい。
国語教師で、丁寧な日本語を話す先生が読む本がどんなものか知りたい。
「あぁ…。確か、図書室には置いていないんですよね」
「はい」
「司書さんに止められたんです。私は好きじゃない、と」
私なら、先生の全部を好きになる自信がある。
「なんでですか?」
「言ったらネタバレになってしまいます」
そう言って、少し悩む先生。
「わかりました、私が貸します。なので、自分で読んでみてください」
「え…。本当ですか?」
「はい。興味があるのなら、是非読んでもらいたいです」
「あ、ありがとうございます…!」
先生の本を借りれるなんて。
私の気持ちを知っていて、そんなことが言えるのだろうか。
「じゃあ忘れていなければ明日、持ってきますね」
「はい」
嬉しい。
嬉しい嬉しい嬉しい、うれしい。
先生の本を借りれるなんて。
私がそのあとの授業をちゃんと集中して受けられなかったのは、先生のせいだ。
細谷先生、大好き。
読んでくださってありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
これからもよろしくお願いします(・v・)。