送ります。
目が覚めると、窓から夕日がさしていた。
記憶をたどる。
1度寝たあと、お昼を食べて、養護の先生にまだ寝ているように言われたんだっけ。
汗をかいたみたいで、制服が気持ち悪い。
「あ、起きた?」
養護の先生がベッドのカーテンを開ける。
「やっぱり、お家の方と連絡取れなくて…」
「……そうですか…」
声がなかなか出なかった。
口の中がからから。
「どうしよう。もう1回、熱測ってもらってもいい?」
「…はい」
体温計を脇に挟む。
保護者が来ないと、早退することができないのだろうか。
「一応、担任の先生が再度連絡をとってくれてるんだけど。繋がったら、伝えにきてくれるって」
ぴぴぴぴ。
38.3℃。あがってる。
カラカラ、と、保健室のドアが開く。
「失礼します」
入ってきたのは、細谷先生、だった。
なんで。
びっくりして、心臓がどくどくいう。
「小嶋先生は今出張でいらっしゃらないので、代わりに私が連絡をとったのですが」
細谷先生。
聞きたかった、細谷先生の、声。
「お父さんと連絡が取れましたが…。お父さんは単身赴任されていますか?」
急に、私に投げかけられた質問。
「…はい」
父は仕事の関係で、県外に単身赴任している。
だからきっと、父に連絡が取れても迎えにきてもらうことは不可能だと思う。
「1人で帰らせてください、と言っていたのですが」
やっぱり。
そう、なるってわかってた。
「でも、熱は下がってないですし、1人で帰らせるのは危ないかと」
養護の先生が言う。
「……大丈夫、です。1人で帰れます」
ベッドから起き上がり、足を下ろす。
一瞬めまいがして、とっさにうずくまる。
「無理しちゃダメよ」
養護の先生が私に寄り、おとなしくするように言う。
「それに、最終下校時刻も迫ってますし、やはり危ないかと…。確認を取りたいことがあるので、少し、職員室に行って、すぐ帰ってきます」
細谷先生は、養護の先生じゃなくて、私に言い聞かせているようだった。
「お願いします」
細谷先生は保健室から出て行き、そのあとに養護の先生が水をくれた。
すごく喉が乾いていたからか、水がつっかかるようで、飲むのがちょっと苦しかった。
本当にすぐに、細谷先生は戻ってきて、いつもみたいに私をまっすぐ見て、言った。
「私が送って帰ります」
こんな先生いたらいいのに!
好きになるのに!!←
観覧感謝です♡*゜
これからもお願いします(・v・)。