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蒼空のセレスティアブルー  作者: 稲木グラフィアス
第二章《Kaleidoscope》
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第六話《Propose》(2)


「ストーカーなんて言わないでよ。好きな人を口説くには、強引なくらいが丁度良いのよ」


「「強引なくらい……」」


「なに言ってんだ、お前ら」


 そんな怖い目で睨むように俺を見るな。

 レティは色々と間違ってる。それに気づけ。


「で、レティさん。貴女はこんな奴のどこが気に入ったんですか?」


 駿よ、それは俺自身も聞きたかったけどあえて聞かないでおいたんだぞ。

 何故って、色々怖いからさ。


「え? えっとね、多分よく分からないって言うだろうから気にしないでいいよ」


 と、レティの返答は予想外の物だった。

 恥ずかしいから誤魔化した、それとも自覚していて素直にそう言ったのか。

 どちらにしろ、聞けなかった事が歯痒い。


「っと、もうこんな時間。じゃあ後でね、君翼君☆」


「あぁ、後で……え?」


 つい聞き流そうとしてしまったが、レティは今何と?

 『後でね』ではなく、その前。

 ……もうこんな時間。


「どうした君翼、早くしないと遅刻するぞ?」


「え、千鶴早っ!?」


 いつの間に食器を片付けたのか、既に荷物を担いで歩き出さんとする千鶴。


「君翼……早く」


「セレスも!?」


 気付けば食器を片付けずにずっと話し込んでいたのは俺だけのようだった。





















 時刻は飛んで放課後。

 午前中の授業を終え、昼休み中にもレティは姿を見せ、HRが終わった瞬間、待ち構えていたかのようにも登場した。

 行動を共にすると言うよりも、付きまとうと言った方がいいと思える。

 このまま、了承も断りもせずにしていたら、卒業までずっと続きそうだ。

 それならこっちはレティを『友として』迎える事にしようか。

 と、授業中に考えていたが、それと同時にレティに『魔宝具を使わない魔法』の手解きをしてもらうのも悪くないとも思った。

 何かコツがあるのなら知りたいし、レティの好意を利用するようで後味が悪そうだが、完璧に断るのではなく『友達から』という態度で臨むのだから、それくらいの譲歩はしてもらいたい。

 モテるというのは悪い気はしない。

 そしてこの学園に来てから、俺の回りに集まって来た女子はレベルの高い者ばかりだ。

 男としてはとても喜ばしい事だが。

 とにかく、レティから教わる前に魔法について基礎だけでも予習しておきたい。

 このやる気を勉学に回していたら、魔法に関わることはなかったのではないかと思ったのは置いといて、さっそく俺は図書室に来ていた。

 ただ、今の俺は決して図書館に来る状態ではない。

 何故か。それはまさしくレティのせいなのだ。

 まぁ別についてくるのは譲るとして、レティはきっと俺が本を読むのに邪魔になりそうだ。

 主にテンションが!


「あの、すいません」


「はい?」


「昔の魔女について書かれてる本ってありますか?」


「えっ、それならM-12からM-14の棚にありますけど……」


「そうですか、ありがとうございます」


 棚の位置を教えてもらってその場に行く途中、受付の人達が話している声が聞こえた。


「ねぇ、今の人って……」


「うん、理事長の息子だよね」


「うわぁ始めてみたぁ」


「あの眼帯、何か模様みたいなの書いてあるけど何かの魔法陣かなぁ」


 違うんです、ただの中二秒です。

 若気の至りです。掘り返させないでください。


「何の本探してたの?」


「昔の魔女の本だって」


「何のために?」


「さぁ?」


 昔の魔女の本を探す理由は勿論、レティの話を聞いたからだ。

 先代にはもっと沢山の魔女がいて、その魔法について書かれた本もあるかもしれない。

 すると一冊、目に留まった題名の本があった。


「……『初代六大魔女』?」


 今の魔女は『四大』と呼ばれるくらいだから、他にも魔女はいるのだろう。

 もしかしたらレティの先祖がその六人の一人?

 と、そんな思いで本をめくってみる。


「…………(ゴクリ)」


 初代六大魔女とは、緋、蒼、碧、金、黒、白の六色で表される強大な魔力と、強力な魔宝具を有する魔法使い六人を指す。

 彼女達はそれぞれの国で自分以外の魔法使いに魔宝具を使った修行をさせた。

 その全国の六つの修行場の理事を勤めたのがこの六人で、全員が女性であった事から彼女達は『六代魔女』と呼ばれるようになった。


 と続き、その六人が使っていた魔宝具が載っている。






 蒼の魔女の魔宝具:《天之叢雲剣》

 刀身が両刃で蛇のように曲がりくねった蛇行剣。自然現象の全てを操る魔宝具であるが、主に水を操る。


 緋の魔女の魔宝具:《ゲイ・ジャルグ》

 どんな魔法も打ち破る大小二つの赤い槍。火に燃えず、水に溺れない。ガ・ボーとガ・デルグで共に傷が回復しない魔力の槍。


 金の魔女の魔宝具:《聖剣デュランダル》

 柄が金色。魔力を込める程、刃の切れ味や強度を増す。


 碧の魔女の魔宝具:《ヴァジュラ》

 射る時には嵐を引き起こす弓。魔力で起こした風を利用して、その矢は弾丸よりも速く、貫通力も増す。


 黒の魔女の魔宝具:《レーヴァティン》

 レーヴァティンとは『害なす魔法の杖』という意味。太陽の光よりも眩しい輝きを出して燃えている。魔宝具の中で最高の威力と範囲を持つ。


 白の魔女の魔宝具:《アイギス》

 ありとあらゆる邪悪・災厄を払う魔除けの能力を持つ。魔宝具の中で最高の防御力を持つ。






 神話に登場する武具の名前を関する魔宝具を持っていた六人は、互いの技量を計るために六人で競争を始めた。

 しかし、その戦いによってもたらされた被害は大きく、彼女達は競争を止めた。一人を除いて。

 黒の魔女『リーゼロッテ・ワルター』は自らの力を十分に発揮できずに戦いを中止したのを不服に感じ、五人に戦争を仕掛けた。


 黒の魔女は元々気性が荒かったのだろうか。

 六人の中でも特に。


 黒の魔女以外の魔女達は五人の力を合わせて黒の魔女を倒す。

 しかし、黒の魔女が仕掛けた戦争はすぐに終わらなかった。

 リーゼロッテの持つ魔宝具は圧倒的な威力と攻撃範囲で、五人を圧倒する。

 そこに一筋の道を作ったのが、白の魔女……


「嘘……だろ?」


 白の魔女の名前を見た瞬間、俺はあり得ないと口にした。

 何故なら、その白の魔女の名前は……


「レティ・アークライト?」


 そう。俺を深夜の寮の屋上に呼び出し、突然求婚を申し込んできた女子の名前だったのだから。

 レティ・アークライト。これは彼女か、それとも同姓同名か。


「同姓同名、だよ」


「れ、レティ!?」


「どうも♪」


 別に心を読まれた訳じゃないよな。

 そこまで表情に出てたのだろう。

 レティが突然現れたのは驚きだが、白の魔女の名前がレティ・アークライトだった方が驚きが強い。


「なんだ、てっきりお前の言ってた先祖かと……」


「うん、そうだよ」


「えっ?」


「そのレティ・アークライトは僕の先祖。なんで同じ名前なのかは、アークライト家の長女の名前は皆『レティ』って事になってるの。同じ名前にする事で、彼女と同じ力を手に入れようとしたんだね」


 昔の人は"同一化"によって力が手に入ると思っていたようだ。

 六大魔女が使っていたと書かれている魔宝具もそうだ。

 いくら神話に登場する武器の名前を関していても、あくまで魔宝具なのだから本物ではない。

 それでも科学では不可能な事が、魔法ならできる。

 その分、真に近づく事ができる訳だ。


「ふぅ……で、レティは何をしに来た?」


「僕の将来の旦那様を……君翼君を探してきたんだ」


「へぇ、そうかい」


「自分から振ったんだから、ちゃんと返してくれなきゃ。僕は悲しいよぉ」


 泣きつくレティをそのままに本に目を落とす。

 何故って、嘘泣きだと分かるからさ。


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