旅先は異世界に限る
「装備武装と携帯品の確認を始める」
少年はそう呟いて持っていた物すべてを地面に置いた。
ずらずらと色々な物が並べられているのでお店の一つでも開けそうだ。
そしてその商品の中から一つ。物騒な物を手にとって観察を始める。
「9mm機関けん銃よし。動作良好欠損無し」
9㎜パラベラム弾を使用する短機関銃。マガジンは予備も合わせて5本携帯してきた。
弾丸だけはやたらめったら持ってきている。バッグの三分の一ほどは弾丸で占められていて中々に重くなってしまったのだが少年はどうとも思っていない。
全体を観察し終えてからM9を地面に置き、別の物を手に取る。
これまた物騒な得物だった。
「次。9㎜拳銃よし」
9㎜の弾を使用する自動拳銃。
マガジンは予備含め五本。持ってきた弾薬の量は同上の9㎜パラベラム弾なのでやたらめったらになる。
「んでナイフ」
丈夫な革製の鞘に入ったナイフを抜き刃のチェックを行う。
ブッシュナイフでかなりでかい。ナイフで戦う場合基本こいつで立ち回るが、一応小柄なファイティングナイフやサバイバルナイフも持ってきてある。
「刃こぼれにダメージも無し。どうやらすべての携帯品に問題は発生してないな」
地面の上には携帯食料、浄水器、その他諸々の”サバイバルのための道具”がずらりと並んでいて、それらは一つのバッグに無駄なく詰め込まれることになる。
「……よし。装備完了」
並べられていた物らのほとんどはリュックに詰め込んだ。
ただM9はスリングで肩に提げられ、9㎜拳銃は右太もものホルスターに収納されている。小型とは言い難いしっかりとしたブッシュナイフは腰裏に括られていて、いつでもに抜けるようになっている。
「それじゃあ、行くか」
少年の見た目の年齢は17歳ほど。かなり若い。顔には笑みが浮かんでいる。
額には防弾性の素材を使ったゴーグルを付けている。
そして服装は厚手の迷彩服にスマートなリュック。
まるで戦争に行くかのような格好と装備である。ハイキングの途中に遭難した、なんていうちゃちな状態ではない。
今少年が立っているのは一言で言って森だが、キャンプをしに来たのでもない。
木々が生い茂り視界は悪い。ただ所々から太陽光と”思われる”光が差し込んでいる。
そして足下には、毒々しい色の花が群生している。
名前は、わからない。
少年は古今東西のあらゆることを教え込まれたと自負している。花も例外では無い。
だが、今足下に咲いている花の名前は知らない。
しかしこれは少年や教えた側に非があるのではなくて”この世界”に非があるのだ。
「冒険の始まりだ」
リュックをしっかりと担ぎ直す。M9のグリップをしっかり握る。
訓練では感じたことのない緊張感。それに伴ってほどよい高揚感も感じる。
「いざ、異世界へ」
言っておくが少年の気が狂っての発言ではない。
本当にそこは少年の元いた馴染みのある地球でなくて、少年のまったく知らない空間。
確かにそこは、異世界だった。
ということで始まりました。
この後どうなるかは想像しがたいですが見守ってやってください。
評価お願いいたします。
それでは次の機会に。