表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/125

女ゴコロ Ⅱ (1)

球技大会も無事に終わり、雅樹と約束をした土曜日。

香織と一緒に待ち合わせのカフェに入った。


「こういうところで待ち合わせするのも素敵ね」


香織は珍しそうに店内を見渡していた。


「高校生の待ち合わせっていう感じでしょ?」


そう言うと頷いていた。

店内に雅樹と祐介の姿を探すと、奥の席に座っている2人を見つけた。


「ごめんね、待った?」


そう言って声を掛けると、祐介が返事をした。


「オレ達も今きたとこ」


まだたくさん残っているコーヒーを見て、祐介が「何か頼めば?」と言いメニューを渡した。


「友達の桐生香織ちゃん」


席に座って二人に香織を紹介すると、香織はニコニコと笑った。


「はじめまして。中川君と九条君だよね?」


祐介達は香織と挨拶を交わし、仲良く話し始めた。


注文したミルクティーとカフェラテが運ばれてくると、本題に入ることにした。


「雅樹、彼女とはどうなの?仲直りした?」


私が聞くと、雅樹はぶすっとした顔をして私を見た。


「仲直りって言っても会えないことには解決にならないんだよ」


ああ、『部活ばっかりで会えないのは寂しい』って言われたんだよね・・


「大会が近いから、部活を休むのは無理だな」


祐介が言うと、雅樹は項垂れてしまった。

あ~あ、と思って雅樹を見ると、祐介と目が合った。


「利奈、腹減った」


祐介が言い出すと、雅樹が顔を上げて恨めしそうに祐介を見た。


「オレ、スゲー落ち込んでんだけど。悩んでんだけど?腹減ったっておまえ」


おまえの友情はそんなもんか!って怒る雅樹を横目で見て、祐介に『ラーメン奢る』って約束して来てもらったことを思い出した。


「雅樹は腹減らないのか?」


淡々と言う祐介に雅樹はまた項垂れて、そのままボソリと呟いた。


「・・・減った」


二人のやり取りを見ていた香織が笑い出した。


「中川君達って面白いね」


「ラーメン食べに行こう。雅樹、行くよっ」


そう言って雅樹を立たせてお店を出た。


香織と並んで歩いていると、翔慶学院の制服を着た生徒が私達を見ていた。“どうしてこんなところに桃陵の生徒がいるの?”そんな視線だったけれど、気にしないで目的のお店を目指した。


――その時、私は彼女達がこちらを睨むように見ていたことに気付かずにいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ