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球技大会 (4)

球技大会2日目


欠伸を噛み殺しながら空き教室に入った。


「利奈、おはよ!今日のスコートも可愛いね」


香織は今日も元気だ。


「おはよ・・・」


黎人が渋い顔をしながら顔を覗き込む。


「テンション低いな」


「・・・寝過ぎて頭がボーッとするの」


「はあ?」


漣兄様が笑いながら言った


「帰りの車の中で寝て、そこからずっと寝てたんだよな?」


再び出てくる欠伸をかみ殺しながら頷いた。


「家について、部屋に運んでもらった記憶がないの。目が覚めたら朝だった」


さすがにこれはまずい。今朝は走ってないし・・・


「私、走ってくる」


更衣室に行くのが面倒だからトイレで着替えた。

ヘッドフォンを首にかけ、ツバの大きいキャップを目深にかぶり、テニスウェアを香織に預けて時間を確認した。


欠伸が止まらない


「行ってきます」


「利奈、頑張って!」



グラウンド5周目位から目が醒めてきた

攻撃的な気持ちになれる曲に助けられてテンションが上がって来る。


今日も攻めて攻めて勝負を勝ち取るぞ


汗を流して香織のところに戻った。


「ただいま」


「おかえりー」


iPodをテーブルに置くと


「聞いてもいい?」


「いいよ。音量が高めになってるからね」


テニスウェアを持ってトイレで着替えた


「利奈、この曲すごいね。何だか攻撃的になれる」


「でしょ。攻めたいときはこれを聴くの」


この曲には救われている。弱気になった時に気持ちを奮い立たせてくれた


「そうなの?」


「雅樹なんか試合前はいつも聴いてるよ。目つきが変わるのがわかるんだよ」


ふぅん。と言いながら香織は曲を聴いていた。




漣兄様と黎人と3人で香織の試合を応援した。


「桐生って怖いんだな」


黎人の言葉に頷いた。

テニスコートにいつもの可愛らしい香織はいなかった。容赦なく相手を攻め立てるテニスの鬼がそこにはいた。


敵にまわしたくない・・怒らせないようにしよう。


「同じチームで良かった」


それは漣兄様も同じ考えだったようで香織を見て呟いていた。




「利奈ぁ、頑張ってね!」


自分の試合を終えた香織はいつもの香織に戻って可愛らしく私の試合の応援をしていた。


バスケットの決勝は同じA組同士の組合せになってしまった。

練習試合で私に爪を立てた先輩が今日も懲りずに爪を立てようとする。


「先輩、前に顔はやめましょうって言いましたよね?」


いい加減、腹が立った私がそう言うと、彼女はプイッと顔を背けた。


「松本、手に余るようならオレが抑えるぞ?」


見かねた福本先輩が申し出てくれたけど私は首を横に振った。


「このままで大丈夫。私がやります」


逆恨みされたくないし、ここで庇われていたらいつまでも同じことが続きそうで嫌だった。


「松本・・今日は何だか怖いぞ?」


福本先輩が言い、私は福本先輩と黎人に笑みを返した。


「今回が初めてじゃないんですよ?故意には倍返しが基本でしょ。ねぇ?先輩方」


「利奈、ほどほどにな」


先輩の爪を避けつつ、彼女に渡るパスは殆どカットした。


「あんたなんか!」


後半が始まるとき彼女は悔しそうに言い、私を睨んだ。


「先輩が仕掛けてきた事ですよ?今更降りないで下さい」


口ではそういったけど、先輩は今にも泣きそうだし、もういいかな。なんて思っていると試合終了のホイッスルが鳴った。


「オレ、松本はもっとおっとりしたお嬢様だと思ってたよ」


福本先輩が私の肩を叩きながらしみじみと言った。


「え?」


「意外に攻撃的なプレイをするんだな、松本を敵に回すと厄介だと思ったよ」


「福本、今頃気が付いたのか?コイツはこう見えても気が短いんだよ。な?利奈」


・・うるさい


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