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球技大会 (3)

次の試合は強敵との試合だった。

バスケ部の先輩が二人もいた。しかも男の先輩が私に対して敵意剝き出しで、さり気なくファウルをとられないように体をぶつけてくる。


「っ!」


尻餅をついた。同じチームにいるもう一人の女子の先輩には何もしないのに、私にばかりキツくあたってくる。


「松本さん、大丈夫?」


同じチームの女子の先輩が起こしてくれた。先輩は「腹がたつわね」と怒っている。


ハーフタイムで福本先輩がペットボトルを渡してくれて水を口に含んだ。


「あの人誰?」


私が聞くと黎人は驚いていた。


「は?覚えてないのか」


首を捻ると、福本先輩が笑いながら教えてくれた。


「3年C組の安田さん・・・忘れたかもしれないけど松本が翔慶学院の奴と組んで対戦した相手」


「あ、そうなんだ」


相手チームを見ると安田先輩と目があったがぷいっと逸らされた。


「・・・福本、わかった?」


黎人が言うと


「わかりやすい人なんですよね」


福本先輩が黎人に苦笑いを返していた。


「何のこと?」


黎人は笑った。この笑みは危険な笑みだ

スッと顔を近づけられて目の前に黎人の目があった。


まさかこんなところでキスするつもり!?焦っていると、黎人の唇は耳元へ寄せられた


「安田は中2病なんだよ。わかる?」


黎人の目を見た。その瞳にはぽけっとしている私が映っていた


わからない。首を横に振った。ちゅうにびょうってなに?


「やっぱり無理か」


「なんで!?」


ムッとして睨むと福本先輩達は笑いを堪えていた。


「利奈、教えてやるよ。中二病っていうのは・・・」


耳に唇が触れた

ギャラリーがたくさんいる前でやめて!


「皆川先輩、刺激しすぎじゃないですか?」


「そうか?女の子にゴツい体をぶつけてくるんだ。それなりの事はさせてもらわないとな」


黎人の微笑みが黒い・・・



試合が再開された


「安田、あんたの相手はオレだよ」


黎人が先輩に何やら吹き込んだようで、安田先輩がさっきから顔を赤くしている。


福本先輩からもらったパスをジャンプしながら受け取りゴールに向かって構えると目の前に男の手があった


「させるかあ!」


ジャンプしてブロックなんて!それ、反則!

咄嗟にシュートを放ってリバウンドに期待した。


私の体はゴツい男とぶつかりバランスを崩して床に落ちた


「松本!」「利奈!」


『ぐえっ』て本当に言うんだ。なんて、呑気に思ってしまった。


バランスを崩しながらも大事な足や右腕をかばいながら床に落ちた私の隣で、巨体が悶絶している。

ぐえっていうのは巨体が発した言葉。私の肘が鳩尾に入ってしまったみたい。


「あの、大丈夫ですか?」


私の声が届かずに悶絶する男・・・痛そう・・。


「先輩、ごめんなさい。大丈夫ですか?」


もう一度声をかけると、黎人が冷たく言った。


「先に体をあてたのは自分なんだ。自業自得だろ。」


福本先輩が心配そうに私を見た。


「松本、どこもひねってない?」


「はい」


福本先輩は足を心配してくれた。


「さっきからなんなんだよ!?お前達反則負けだ!」


黎人が怒鳴った。すごく怒っている。


「フリースローもらえればいいですよ・・・」


「利奈、怪我するところだったんだぞ?」


黎人のユニフォームをぎゅっと握った


「だって・・・優勝するなら戦って勝ちたい。不戦勝とかつまらない。福本先輩もそう思いません?」


「まあな」


福本先輩が差し出す手を掴んで立ち上がった。


「反則を使うなら、それ以上に点数で叩きのめせばいい・・・変な気が起きないくらいにね」


私が言うと黎人は笑った。


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