球技大会 (2)
午後、一番最初の試合はテニス。
漣兄様から渡されたウェアに着替えて頭を抱えたくなった。
たった二日だけの球技大会に一体何着買って来たの!?
紙袋の中には午前中の試合に着ていたウェアとは違うウェアが入っていた。
「漣兄様、これ・・」
確かに可愛い。でも、すっごく恥ずかしいんですけど。
「可愛いだろ?それはオレが選んだから」
首元から襟までフリルがついているワンピース型のウェアは、ぴったりフィットして体のラインがそのまま出てしまう。
早く試合を終わらせてやる!
なんでこんな恥ずかしいのを着てやらなきゃいけないの!
気迫でサーブを打ち、攻めに攻めた
「利奈、ペースが速いと持たないぞ」
兄様が心配したけど不思議と体が軽かった。
香織の黒糖と眠ったのが良かったのかもしれない
「早く終わらせたいの」
ウェアが恥ずかしい
「どうして?」
兄様が顔を覗き込む
「どうしても」
恥ずかしいなんて言ったら泣くかもしれない。
ストレートで試合が終わり、私は次の試合まで時間がないので更衣室へ急いだ
バスケのユニフォームも足を出すけれどテニスのそれよりも恥ずかしくはなかった。
更衣室を出ると黎人が待っていた。
「お疲れさん・・・」
黎人もユニフォームに着替えていて、長い足を露出している。
上はタンクトップなので綺麗に筋肉がついている長い腕が見えていた。
私の事を気紛れに抱きしめるのはこの腕なんだな・・・
「利奈?」
球技大会は明日までだ。香織の言うとおりに、明後日からは黎人とも頻繁に会わなくなる。
「誘ってんの?」
「――何言ってるの?」
私の腕をグイッとつかみ空き教室に連れ込む
「試合!」
黎人の胸の中に抱きしめられた。
お昼休みといい、今といい・・気紛れならやめて欲しい。
「・・・他の男の前でそんな顔するなよ」
「黎人?」
「やっぱりわかんないか・・・」
顔を傾けて触れるだけのキスをした
唇が離れると頭をぎゅっと抱きしめられる
「・・・激しいのは試合が終わってから」
「やっ」
ぎゅうっと力を込めて笑った
「激しいヤツだと、利奈は腰が抜けるだろ?」
腕が解けると、力いっぱい黎人の胸を叩いた。
「黎人のバカッ」