女ゴコロ (3)
お昼休みが終わり、香織に事情を話すと笑っていた
「な~んだ。でも、九条君優しいね。利奈のお願い聴いてくれるんだもんね」
「そうだね・・面倒くさい。とか言いながら付き合ってくれるね」
雅樹の悩みを伝えると、「なるほどね・・彼女の気持ちもわかるかも」と言いながら頷いていた。
「それで?利奈はなんて答えたの?」
「『仕方ないじゃない』って言ったら期待したオレがバカだったって言われたの。だって雅樹は強豪校のレギュラーなんだよ?会えないのは仕方ないんじゃないの?」
香織は「う~ん」と言いながら苦笑いしていた。
「私は利奈みたいに潔く考えられるのが羨ましいな」
少し遠くを見ながらポツリと言った香織は寂しそうだった 。
移動教室で3年の校舎を香織と歩いていると「利奈」と黎人に呼び止められた。
「私、先に教室に戻ってるね」
香織は行ってしまい、廊下に黎人と残されてしまった。
「兄様は一緒じゃないの?」
「いつも一緒なんて気持ち悪いだろ」
そういうもの?
「オレ、今日の練習に行けないけどサボらないで行けよ」
私もたまには休みたいよ
「・・・私って可哀想じゃない?」
「なんで」
「だって、みんな参加種目は1つなのに私だけ2つなんだよ?毎日練習あるし・・」
理不尽だっ!と黎人を見ると
「仕方ないだろ?優勝狙ってんだから」
「優勝すると何かいいことあるの?」
「・・・」
黙っちゃった。やるなら1番を目指すってことね・・学生らしくていいけど
「ご褒美やるよ」
腕を組んで爽やかに笑いながら私を見下ろした。
「ご褒美?」
その爽やかさが胡散臭く見えるんですけど・・?
「ああ。何なら先払いしてやろうか」
でた。セクハラ黎人
爽やかな笑顔はあっという間に消えて、いつもの少し意地悪な笑みを浮かべていた。
「いらないっ」
またむにゅっと頬をつまむ・・私の頬はつまみやすい肉でもついているのだろうか?
「何がいいか考えとけ」
ご褒美ねぇ・・・何でもいいのかな、お気に入りのカフェのスィーツ食べ放題とか、通い詰めてメニュー全種類制覇とか?
「色気の無いこと考えてそうな顔だな」
何でわかるの?
黎人の顔を見上げると携帯が鳴り、また嫌そうな顔をしながら電話に出ていた。
『黎人、待ってるんだけど?』
不機嫌そうな・・若い女の人の声が聞こえた。
「わかってるっつーの!今から行くよ」
苛立った様子でそう言うと一方的に電話を切った。
用事って女の人と会うことなんだ。
黎人を見上げたままにっこりと笑ってやった。
お昼休みから電話が来て、今も催促の電話・・お忙しくてよろしいですねっ
「なんだよ」
「別に~。早く行った方がいいんじゃないですか?怒ってる声が私にも聞こえましたよ?」
黎人に手を振ってその場を離れた。