女ゴコロ (1)
球技大会まであとわずか・・今日はテニスの練習。
テニスの練習に向かうとき、携帯が鳴った。
彼女と仲良くやっているハズの人からの電話
「どしたの?」
『りなぁ・・・』
すごく元気がない声。彼女とケンカした?
「それって、慰めが必要なレベルですか?」
『・・・そうかも・・・』
おーい、まさきくーん?何があったの?
「これからそっちに行こうか?」
『オレ部活』
そんなに元気がない状態でも部活だけはこなす雅樹が偉いと思う。
けど・・
「そんなんで大丈夫なの?ケガしないでよ?」
『わかってる。土曜日時間ないか?』
彼女とデートもしないなんて、本当に何があったの?
「多分大丈夫」
『んじゃ、あそこで』
「うん、いつものとこね。あ、友達も一緒でもいい?」
香織が雅樹達と話をしてみたいと言っていたのを思い出した。
『そいつ、女心わかる?』
「は?」
その質問はなに?
『女心がわかるなら連れてきてもいい』
なんだそれ、私じゃダメなの?
「女心の何が知りたいの?」
『・・・ムリ』
沈黙の後にポツリと言われて、なんか屈辱・・・
私だって女の子なんだけど?
「言ってよ」
『部活ばっかりで会えないのは寂しいって言われた』
「仕方ないじゃない。部活でしょ?」
雅樹は強豪校のレギュラーなんだから、そんなワガママを言って困らせるのは良くないよ。
寂しいけど我慢しなきゃ!
『・・・一瞬期待したオレがバカだった。じゃあな、土曜日な』
言いたいことだけを言って電話が切られた。失礼なヤツ!!
「バカ!」
「誰がバカ?」
漣兄様がテニスコートで待ちくたびれた顔をしていた。
「ごめんなさい、兄様」
兄様に駆け寄ると、電話をしていたのを見ていたのか、しっかりとチェックされた。
「誰と電話?」
「雅樹からだったの。彼女とケンカしたみたい」
兄様からラケットを受け取って数回素振りをした。
「ケンカ?」
「多分、そんな感じ」
「多分?」
兄様は首を傾げて聞き返した。
「・・・利奈には直接関係ないんだろ?」
そう聞かれて頷いた。
「利奈は練習!行くぞ」
漣兄様に手を引かれてテニスコート立ち、サーブを返す練習をした。
手加減してくれないから重いサーブを返し続けると握力がなくなってくる。
テニスをするときの兄様は鬼だ・・・