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王子様、その人は××× (4)

「松本さん、外は暗いから気をつけて帰ってね?」


2年の女性の先輩はそう言って迎えにきていた高級外車に乗った。


「先輩さようなら」


車が発進すると、私は鞄を持ち直して歩き出した

お金持ちの子供が多いうちの学校。

誘拐等の事件に巻き込まれるのを恐れて子供を送迎する親と、単なる見栄の為に送迎する親。

先輩の家がどちらに該当するのかなんて関係ないけれど、可愛げのないことを考えてしまったことに自分で少し嫌な気分になった。


・・・どちらにしても、母子家庭の私には関係のない話しなのでバス停に向かって歩いた。


学校の敷地から離れたあたりで私の横にすうっと車が止まり、助手席が開いた。

私はそれを横目に見て車を通り過ぎようとした。


「お乗り下さい」


車から出てきた男が後部座席の扉を開いた


「大丈夫です」


男は黒いスーツに身を固め、頭を下げながら私に乗るように促す


「そういうわけには参りません。お父様のおいいつけです」


私には乗るつもりがないから拒絶の言葉をぶつけた


「一人で帰れるから大丈夫。パパには私から言うから帰って頂戴。目立ちたくないの」


男は頭を下げたまま食い下がる


「ですから学校から離れた場所に車をお止めしました。お嬢様、お乗りください」


私は頭を下げる男に目を向けた


「しつこい」


「片山、こういう時には無理やり乗せるんだよ。ためらったらダメ」


後部座席から声がして、私はとっさに逃げようとしたけれど私の体を羽交い締めにする方が早かった


「やだっ」


車に引きずり込まれると、バタン、とドアが閉まった


「早く出して」


車が動き出した


「離して!」


頭の上から楽しそうな声がした


「本当に強情な子だよ・・・誰に似たんだろうね?」


私を抱きかかえていた手を離し、私の顔からメガネを取って自分にかけた


「返して!」


キラキラオーラはナリを潜めてこの男本来の危険すぎる色気を放った


「伊達メガネなんかで可愛い顔を隠すなんて悪趣味だよ?」


ムッとして車に乗せた男を睨み付けると目を細めて楽しそうに笑った


フェロモン垂れ流し・・・




「髪も解いて・・・利奈は可愛いんだから見せつけなきゃ」


お下げに結っていた髪を勝手に解いた


「何するの!?」


そのとき、前と後ろを隔てていたガラスが下がった


「漣様、利奈様をお連れするのはどちらがよろしいでしょうか」


「そうだね・・・「スーパーよ!夕飯の買い物をする予定だったんだからスーパーに寄って!」


漣・・・剣崎漣の言葉を遮ってSPに言った


「漣様それでよろしいですか?」


「ああ・・・利奈、少し遠いところでもいいかな」


私はそっぽを向いて答えた。


「どこでもいいです」



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