翔慶学院 (3)
体育館に行くとギャラリーが沢山いた。
「「利奈~!」」
ギャラリーの中から黄色い声が飛び、私に向かって手を振っている女の子達。・・久しぶりに見た・・
「「利奈センパーイ!お帰りなさーい!」」
「お前ら!うるせーぞ!!」
雅樹が怒鳴りつけると静かになった。
「ったく・・なんでおまえは女にばっかりモテるんだよ?嫌味な女だな」
祐介が面倒くさそうに言うと、雅樹が「うるさい女は嫌いだ」とぶつぶつ言いながら練習を再開した。
コートの脇をチラリと見ると、満足そうにこちらを見ている香織と、信じられないものを見るような目で見ている漣兄様と黎人がいた。
香織がずっと期待していたのはこれ・・
女の子が私に黄色い歓声を送ってくる。私は何故かこの学校にいる、とある傾向の女子に好かれているらしい・・・
久しぶりにこれは、キツいわ・・・
「アップ・・・しようか?」
部長に声をかけられて柔軟を始めた
「松本さんはこの学校のアイドルなのね!剣崎君なんか目じゃないわね」
ケラケラと先輩は笑った。
先輩、兄様と比べるのはちょっと違うと思います。私は彼女達の前で王子様を演じてはいませんから・・
試合が始まってから、私は頑張ったと思う。
強豪の翔慶学院相手に奮闘したけれど・・・
「利奈、大丈夫?」
ハーフタイムに床に寝転がった私を香織がぱたぱたと扇ぐ
「利奈ばっかりマークされちゃっているね」
ね。じゃないんです、香織ちゃん。執拗なマークに私はキレそうです
「飲める?」
肘をついて起き上がりスポーツドリンクを飲んだ
「ありがと、香織」
汗を拭いたタオルを香織が受け取った。
「「利奈センパーイ!大好きぃ~!」」
黄色い声に私が眉をしかめると
「利奈!生はすごいね!」
香織がキラキラした目で私を見た。
「香織、楽しい?」
「うん、楽しい」
まあ、香織が楽しいならいいか・・・
「利奈、頑張ってね」
「ハイハイ」
香織が私の耳に囁いた「目だけを動かして入口を見て?」
その言葉に視線だけを入口に向けると「有村君、見に来てくれてるよ。良かったね」私の頭を撫でながら香織はにっこりと笑った。
大輝が来てくれた!
「香織、私・・」
「試合、頑張らなきゃね?・・それから、皆川先輩にありがとうって言うんだよ?」
「うん、香織もありがとう」
香織にハグをすると悲鳴が上がった。
「「やめてーっ!!」」
うるさい・・・これさえなければいいのに・・