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翔慶学院  (1)

放課後、テニスの練習をしていると香織がニコニコしながら顔を覗き込んできた。


「仲直りしたみたいね?」


そうなのかな・・


「香織が黎人を呼んでくれたんでしょ?ありがと」


ニッコリと笑って休憩をしている私の隣に座った。


「皆川先輩なら、あの先輩達を蹴散らしてくれるかな~と思ったんだよね」


そうだね、見事に蹴散らしてくれた。

頼もしいよね、という香織の言葉に頷いた。


「うわっ!?」


急に頬に冷たい物が触れて驚くと目の前にペットボトルが出てきた。


「桐生さんもどうぞ?」


「漣兄様・・びっくりした!」


漣兄様は香織にペットボトルを渡すと私の隣に座った。


「翔慶の練習試合を見に行ってもいい?」


香織が、目をキラキラさせて聞いてきた。

何を期待しているのか・・何となくわかってしまった


「・・・いいけど、あの学園は騒々しいから香織、引いちゃうよ?」


「引く?」


兄様が聞いた。


「そう、うるさくて引いちゃうから」


香織はにっこりと笑った。


「聞いたことあるよ。ふふっ利奈が翔慶で試合するのを見れるなんてウソみたい!中川君たちもいるんだよね?すごく楽しみ!」


「香織?」


香織はニコニコ笑った


「だって利奈のファンだもん。生で見るのは初めてだから楽しみ!」


「桐生さん、それって何のこと?」


兄様が聞き香織はにっこり笑った


「剣崎先輩には内緒です!」


意味がわからない。と兄様は首を傾げたけれど、ニコリと笑った。


「利奈、応援に行ってやるよ」


「私も応援するからね!頑張ってね利奈!」


「・・・ありがと」


ほどほどに応援してね?

兄様、お願いだから、過剰なスキンシップは控えてください・・・

あの学校は普通の学校なんだから・・・





・・―――

   ―――


練習試合の日、学園が準備したバスで翔慶学院まで移動した。



「松本さん、懐かしい?」


「・・・そうですね・・」


バスケ部の部長はニコニコしていた。


私が普通に卒業したと思い込んでいる彼女は「懐かしいといってもまだそんなにたっていないでしょ?」と笑いながら言っていた。


翔慶に行くという事は学校に行かなくなってから連絡を取らなくなった友人たちに会うということ。

そのことを深く考えなかった


私の隣に座っている漣兄様に寄りかかり、目を閉じた。


「利奈、どうした?車に酔ったか?」


「ううん・・違う。少しだけ、こうしていてもいい?」


兄様は私に腕を回して身体を支えてくれた。



急に私が来たら、みんな怒るだろうな・・・


一番最初に・・謝ろう・・


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