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まとめて整理 (1)

「利奈、皆川先輩と喧嘩した?」


「え?」


3年A組と合同の体育の授業の後、更衣室から教室に帰る途中で香織に言われた。


「二人ともぎこちなかったよ」


「・・・怒らせちゃったみたい」


「なんで?」


「・・・良く解らない」


「利奈ちゃん?話してみようか?」



かいつまんで香織に話をした。

大輝が走るのを辞めてしまい、クラブに出入りしているのを聞いて探しに行った先で黎人に会った事。

大輝に拒絶されて落ち込んでいるのを慰めてくれた事・・ バスケ部の練習試合に参加することにしたら急に怒り出したこと。


「利奈、聞いていい?」


「うん」


香織が口を開きかけて、急に眉をしかめた。


「香織?」


「松本さん、ちょっといいかしら?」


声を掛けられて振り返ると・・昨日、図書室で私に絡んできた上級生とその仲間らしい数人がいた。


「はい」


出た、お姉さま達・・・

香織は眉をしかめて私と彼女達を交互に見ていた。


「ちょっと来てもらえる?」


「今日は取り込んでおりまして・・」


どうせ黎人から離れろっていうんでしょ?聞くだけ時間の無駄だって・・


「何ですって?」


「お話しの内容も大体わかりますのでまた後日・・」


にこっと笑ってみた。


「ふざけないで」


腕を引かれた。やっぱりダメか


「香織、ちょっと行って来る」


「利奈?危ないよ」


「あら、桐生さん。危ないってどういう事かしら?私達お話しするだけよ」


いずれどこかでケリをつけなきゃいけない事だから、今でもいいか。

そう思って香織に笑って「行って来るね」と言い、校舎裏に行こうとする彼女達を、あの空き教室へ連れて行った。




「ここって・・」


「校舎裏とか好きじゃないんですよね。どうぞ、入ってください」


史兄様にもらった教室に入ると先輩たちは顔を引きつらせていた。


「なんなのよ、この部屋」


「上の兄が作らせた部屋です。どうぞ、お掛け下さい」


史兄様の名前を出したら、彼女達の顔が強張った。


「先輩達のお話ってなんですか?また、皆川先輩に近付くなっていうことですか」


私がそう言うと、昨日図書館に来た先輩が、キッ!と私を見た。


「そうよ、皆川君に近付かないで」


「漣君の妹だからって、いい気にならないで」


「兄の事は関係ないんじゃないですか?私個人と皆川先輩が話をしていたから何だっていうんですか?」


「なんですって?」


「先輩たちが私におっしゃることは自分の気持ちの押し付けですよね?皆川先輩が誰と話をしようが、本人に自分の気持ちを伝えたらいいじゃないですか」


それで本人から断られたら仕方ない。そうじゃないの?


「なっ、生意気・・」


こんなことを続けられて私が何も思わないとでも思っているのだろうか?苛立ちを抑えながら言いよどむ彼女達に畳み掛けるように続けた。


「いつかお話しをしようと思っていたんですよね。・・・確かに私は剣崎漣の妹です。ですが、皆川先輩と話をしていることに兄の立場を利用しているとか、そういうことはありません」


私は引き出しに入れておいた箱を取り出してローテーブルに中身を開けた。


「何よこれ・・」


「これですか?先輩達が良くご存じだと思いますよ?皆川黎人に近付くなっていう手紙です」


先輩達はギョッとしたように手紙を見ていた。自分が出す手紙は1通でも、集まった姿を見て驚いているようだった。


「彼に憧れている気持ちが書かせている手紙だから、何となく処理できずにいたんですけど、理不尽に言いがかりをつけられるのもいい加減迷惑なんです。あまりにも酷いようだと私も考えます」


「考えるって・・?」


私はチラリと彼女達を見て、手紙を箱に戻した。


「そうですね・・本人に相談する。とか?兄達に相談するかもしれません」


そう言ってにっこりと笑うと彼女達は顔を引きつらせた。


「あなた、知らないの?」


一人が思い出したように言い、今まで引きつらせていた顔に笑みを浮かべた。


「皆川君はね・・・」


いきなり教室の扉が開いた。


「オレが何だっていうんだよ?」


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