王子様、その人は××× (3)
そのとき、ポケットに入れてあった携帯が震えた
受信されたメールを開くと
“今日は委員会の選別だよな?『風紀委員』に立候補するように”
言いたいことだけを一方的に言ってくる。私はため息をついて携帯を閉じた
「午後の委員会決め・・・利奈は何にするの?」
香織に聞かれて一瞬戸惑った
あのメールの言うとおりにしなければいけないのだろうか?・・・それは嫌だ
「そうだね・・・ねぇ、香織は?」
問いかけに問いで返すと香織は“う~ん”と言いながら
「暇そうなとこ」
この学園では生徒は必ず何らかの委員会に所属しなければいけないそうだ。
メールの相手は“風紀委員”を強要してきた
「そっか・・・私は目立たないのがいいな」
「じゃあ風紀と美化以外だね!風紀と美化は王子様が委員長だからみんな立候補するよ。」
内心ほっとした。立候補者がたくさんいるのなら風紀委員になれなくても仕方ない。・・・よね?
そのときまた携帯が震えた
“オレの言ったこと、分かった?”
そのメールにすぐに返事を送信した
“善処します”
そうしたらすぐに返事がきた。
“ダメ。絶対”
私は携帯を閉じた
5時限目のホームルームで委員会を決めたとき、香織の言うとおりクラスの女子殆どが風紀委員と美化委員に立候補し、あまりの人数の多さにくじ引きをすることになった。
私は人気のない図書委員に立候補しすんなり図書委員になれた
風紀委員と美化委員の当たりくじを引いた女の子は嬉しすぎて泣いていた。
王子様の威力は恐るべし
6時限目は委員会の顔合わせで私は図書室に向かった
交代制で図書の貸出を管理する仕事。お昼休みと放課後にカウンターの中にいればいい。
クラスの組を縦割りにA組B組・・・と振り分けて一週間交代で当番をしていくことになっているそうだ。
委員会の仕事は早速今日から始まり、最初は私のクラスA組から担当することになった
放課後、早速図書室にてカウンターから綺麗に整頓されている本棚を眺めていた。
さすがお金持ち学校・・・蔵書の数は半端じゃなく多くて、部屋の隅から整然と並べられている書物の多さに感心してしまった。
けれど、借りに来る生徒は殆どいない。
ここの学生はわざわざ本を借りて読まないのだろうか?
「松本さん、暇だから好きな本読んでいていいよ」
3年の先輩に言われて本を探す為に席を立った。
面白そうな本を探しているとポケットに入れていた携帯が震えた。
メールを開くと
“どういうこと?”
と短い文章が送られてきていた。
質問に答えずに本を探しているとまた携帯が震えた。
今度は着信だった。私は電源ボタンを押して着信を切りメールを打った
“風紀は立候補が多すぎてなれませんでした。今は委員会中なので電話には出られません”
メールを送信してその内容に間違いなく抗議のメールが来ることを想定して予め携帯の電源を切った。




