放たれるコトバ (3)
目を閉じて休んでいると
扉がノックされてパパの声がした。
「先生はお父さんと話をしてくるから・・・休んでいなさい」
ベッドに横になったまま携帯の電源を入れると兄様達からメールが届いていたけれど、今は2人のメールを読む勇気がなかった。
だってメールの内容は想像できる。急に帰ってきたママの事だ。SPを帰した事と兄様達に会わないって言った事。メールを返さなければ心配させるのはわかっていたけれど、今の私には上手く答える言葉が見つからない。兄様達にごめんなさい。と心の中で謝った。
心配をしているだろう祐介と雅樹にメールを送った。
“昨日は何も言わないで帰ってごめんね。ただの打ち身だから心配しないでね”
送信ボタンを押すと電話が鳴った。
ママ・・・
きっとあまり聞きたくない内容の電話だろうな、と思いながら通話ボタンを押した。
「もしもし」
『利奈?昨日SPを帰らせるように言ったでしょう?何でここにいるのよ!』
突然怒鳴られた。
なぜマンションにSPの車があるのか。そんなこと私に聞かれても分からない。だって彼等はパパの指示で動いているのに・・そのことを知っているハズなのにママは私に怒りをぶつける。
「私、ちゃんと言ったよ?・・・ママ」
私の答えは聞かずに、ヒステリックな声で怒鳴り始めた。
『やっぱりあの子達に会っているんでしょう!?父親にも会ったのね!?あいつらに会ったら意味がないじゃない!!会うなって何回言ったらわかるのよ!』
苦しい・・・苦しい・・・
どうしよう袋持ってない。発作が止められないよ。
「っ・・・」
苦しい!
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「利奈・・・お前・・・落ちつけよ。利奈!」
声が聞こえて肩を揺さぶられた。
「わかるか?」
顔を上げると目の前に顔があった
「利奈」
黎人・・・?
「しっかりしろよ、オレが分かるか?」
「・・・と」
ぎゅっと抱きしめられた。
「利奈、オレの名前は?・・・」
「あきと・・・」
大きく息を吐くと頬を撫でられた。
「何で・・・」
治まった?
「今は話さなくていい・・」
頭がうまく働かない。
「先生を呼んで来るから、横になってろよ」
どうして発作が止まったの?・・・
目を閉じると、目の前が白くなった