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動き出す・・・ (2)

「皆川先輩?」


バスケ部の男子部員が言うと、


「こいつ、保健室に連れていくから。荷物どこ?」


黎人がバスケ部の部員に聞いている間に、私は祐介に起こしてもらい、逃げ道をさがした。


「利奈?どうしたのおまえ」


祐介は挙動不審な私の顔を覗き込んだ。


「無駄だ・・・諦めろ」


黎人にじろりと睨まれ腕を掴まれてしまった。

バスケ部の人が私の荷物を黎人に渡してしまい、黎人は真顔で聞いてきた。


「オレに抱かれて運ばれるのと自分で歩くの。どっちがいい?」


私は即答した。


「歩きます!」


黎人は首を傾げて一人納得したように言う。


「・・・やっぱここは期待に応えなきゃ?」


「イヤ!歩きます!!」


毎回こんなのやだ!人の話を聞け!


「皆川先輩、やだっ」


「うるさい」


右腕で私を肩にかつぎ左手で私の荷物を持った。

私は荷物じゃない!!っていうか、これは抱っこじゃないよね!?


祐介と雅樹は唖然として私を見ていた。

見ていないで助けて!




保健室に担ぎ込まれると、


「あれ?1日に2回も来たの?」


保健医は呑気に聞いた。


「先生、こいつバスケやってて男に飛ばされて、背中から床に落ちたの。見てやって」


保健室の常連らしいこの男は私を床に下ろすと、冷蔵庫から勝手に水を出して飲んだ。


「皆川、補充しておけよ。君はこっちにきて」


保健医は私をベッドに連れて行き、私を見て言った。


「服、脱げる?」


「はい・・」


「じゃあ、うつぶせになって」


ユニフォームを脱いでベッドにうつぶせになった。


「どこから落ちた?」


「ここ・・・」


手で右側の背中をさすと保健医は背中に触ったり少し押したりした。


「痛い?」


「少し」


「ここは?」


「いたっ」


「・・・打ち身だと思うけど、痛みが酷くなるようなら病院に行きなさい。湿布を貼るけどかぶれない?」


「多分大丈夫です」


湿布を貼ってもらい、制服に着替えた。


チェーンから自分のリングを外して指にはめて、2つのリングは今更だから首にかけたままにした。




「先生ありがとうございました」


「はいよ。顔の傷もお大事にな」


利用名簿に名前を書いて先生に渡した。


「はい。・・・先輩もありがとうございました」


頭を下げて何事もなかったかのように通り過ぎようとしたら


「甘いんだよ。お前はこっち」


腕をがっしり掴まれた。


「センセ、どーもね」


やっぱり駄目だったか・・・


腕を振り払おうとするけれど離してもらえないみたい。


「おう。皆川、盛るなよ」


「うるせ」


黎人は保健室から出ると、私を引きずるようにして歩いた。


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