表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/125

動き出す・・・ (1)


―――――

 ―――――――


やっぱり、私は身体を動かすのが好き。


この二人はそれを思い出させてくれる。




「くそっ邪魔だっ」


苛立った男の腕が目の前を遮る。

それをよけて手の下からボールを叩くと面白いようにそれは弾んだ。


「祐介!」


「この女!」


向きを変えた男の肩が当たり床に尻餅をつきそうになると、


「利奈、大丈夫か」


雅樹が受け止めてくれた。


「ありがと」


「相当イライラしてきたな」


私は頷いて立ち上がった。




ゲームが再開されて、リバウンドを取ろうとしてジャンプしたとき、見つけてしまった。


コートの外で、腕を組み背中を壁にもたれさせこちらを見ている“皆川黎人”を・・・



「利奈!」


よそ見をしてしまい、名前を呼ばれて気が付いたら目の前に太い腕があり、


「!」


とっさに自分の腕で顔をかばったが太い腕に払われてしまった。


「利奈!」


情けない事に私は飛ばされて背中から床に落ちた。


「いったぁ・・・」


「「利奈!」」


祐介と雅樹が駆けつけて心配そうに見ている。

前にもこんな表情をさせたなぁ・・と昔のことを思い出して小さく息を吐いた。


「大丈夫か利奈!」


「だいじょぶ・・・」


背中を打った・・・



プレイしていた人達が私の周りに集まって見下ろしていて、私を薙ぎ払った先輩はオロオロとしていた。


「すまん松本!ついイライラしてしまった!」


その狼狽えぶりがおかしくて、つい、その先輩に軽口を叩いてみる。


「先輩・・・手加減してください。私も一応女なんで・・」


「ほ、保健室行こう。な?松本」


動揺する先輩がなんだか可愛かった。


まだ横になっていた私の視界に制服のズボンが入り、思わず体が強張った。


立っていたその人は私の顔の横に座り、すっと首に手を伸ばしてチェーンを指ですくうと、リングはユニフォームの外に出された。


「みーつけた」


そこには、笑みを浮かべている黎人がいた。

それは、クラブで初めて会った時に「面白い」そう言って笑った時に見せた顔と同じだった。



3つのリングは“シャラン”と音を立てて彼の手に落ちた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ