トモダチ (4)
※利奈視点に戻ります。
「利奈!見てたか?」
試合が終わって、祐介と雅樹は私に駆け寄ってきた。
「見てた!かっこよかったよ!」
いつ見ても祐介のプレイはカッコイイ。
どうしてあんなにキレが良く動けるのだろうと感心してしまう。
「なぁ・・・久しぶりに3ON3やろうぜ」
祐介が突然言い出した。
「何言ってるの?無理だよ」
「いーね。オレ主将に言ってくる」
雅樹が言うと行ってしまった。
彼も祐介と同じくらい上手い選手で祐介がフォワードで雅樹はセンターだ。
「利奈・・・お前、オレ達と組めよ。相手が全員男でも問題ないだろ?」
「何勝手に決めているのよ。私は女の子なんですけど?」
祐介は眉をひそめて私の顔を覗き込んだ。
「お前・・・完治したんだろ?さっき動けてたよな」
階段から落ちたとき、一番最初に私を見つけたのは祐介だった。
「完治は・・・したよ。一応」
すごく心配してくれて、いつも気にかけてくれていた。
ニコッと笑って私の顔を覗き込む
「だったらいいじゃん。やろうぜ」
雅樹が戻ってきてニコニコしながら言う。
「オッケー取れたよ!対戦相手は桃陵のチーム。男女混合な!利奈のウェアは女子部のを貸してくれるらしいから。着替えて来い」
雅樹に背中を押された。
2人とも強引だ!中学校と高校じゃ体力の差が大きいのに!
私は急かされて着替えを済ませバッシュを借りた。
コートまで来てネックレスを外すのを忘れた事に気づいたけどギャラリーも少ないからいいや、とそのままにして自分のリングも外してチェーンに通した。
「利奈・・・これ着ろ」
「大きすぎるよ!」
私に祐介達と同じカラーのユニフォームを投げてよこした。
「いいから早く」
仕方ないから上に着て余る分は裾で縛った。
「ストレッチは念入りにしろよ」
祐介は腕を組んで私がストレッチをするのを見ていた。
「見てなくてもちゃんとやるよ?」
あの事故以来、連絡を取ろうともせずに逃げ続けてきた私に前と変わらない態度で接してくれる二人に感謝したい。
ストレッチをさせられると雅樹に手を引かれて立ち上がった。
「フォローするから、思いっきりやれ」
背中をポンと叩かれると安心する。
失くしてしまった。自分から手放してしまったと思っていたけど、違ったと思いたい。
「ありがと雅樹」
祐介と雅樹が一緒だと安心してプレイができる。
心強い存在。