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トモダチ (3) side:香織

ホームルームが終わり、私が帰ろうとすると教室の扉が開いた。


「風紀委員会です!残っている生徒は席について」


王子様の登場に教室が黄色い声に包まれた。

その後ろからもう一人現れて教室内を見渡す。


「ついでに美化委員会もチェックするから・・・」


その姿にまた黄色い声があがり、私は気づかれないようにため息をついた。


利奈と一緒に行けば良かった。絶対に、利奈の友達の試合を見ていた方が楽しい。




委員長達が教室を見回していくと空席の前で止まった。


「ここの席は?」


皆川先輩が聞き、隣の席に座る私が答えた。


「松本さんの席です。バスケ部の試合を見に行きました」


その答えを聞いて、クラスメイトの小さな笑いが起こった。


『やだ、松本さん・・・漣様と皆川先輩よりバスケ?』


『でも、さっきの試合松本さんうまかったじゃない?格好良かったよね』


男子生徒も噂話をしていた。


『松本ってメガネとると綺麗だよな。・・・でもあいつ地味なんだよな』


『大体、なんで顔に絆創膏貼ってんだよ!あいつ自分が女だってわかってる?』


止まないヒソヒソ話に剣崎先輩の眉が一瞬ひそめられたような気がした。

剣崎先輩がこんな表情をするなんて少し意外で、ついその表情を見ていると



「女子生徒!机の上に手を出して」


剣崎先輩の声が教室に響いた。

言われた女子生徒は素直に机の上に手を出している。先生の言うこともこれくらい素直に聞いていればいいのに。


先輩が一人ずつ手を見ながら席を移動していくと、一人の女子生徒の手をつかんだ。


「きれいなネイルだね・・・でも、ちょっと長いよね?」


剣崎先輩が女子生徒に微笑むと生徒は頬を赤く染めた。


「派手なネイル、長すぎるのも禁止。明日またチェックするから・・・いいね?」


返事のかわりに悲鳴があがった。

明日も来るつもり?私はがっかりした。


俯いた時、床にリボンが落ちていることに気がついた。


利奈ってば、慌てて行くからリボン落として行ったんだ。

制服はリボン着用が決まりになっているのに・・・風紀委員会に目を付けられちゃうよ!?


皆川先輩が私の視線を追って、ツカツカと歩みよりリボンを拾い上げた。


「誰の?」


「・・・松本さんです。私届けます!」


皆川先輩に向かって手を伸ばしたけれど、先輩はその手にリボンをつかんだままだった。


「着用が義務づけられているリボンを忘れて落とすなんて・・・気持ちが弛んでいる証拠だよね」


皆川先輩の笑みに私は背中がぞくりとした。


利奈・・・目を付けられちゃったみたいよ?


「黎人、そのリボン貸して」


剣崎先輩が言ったが皆川先輩はそのまま教室を出た。


「おい、黎人?」



利奈・・・もしかして、皆川先輩にロックオンされちゃった?


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