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アイツノサガシモノ (1)

『きゃあ~!漣様!』

『皆川せんぱーい』

『お二人とも素敵!!』


黄色い声が飛び交っている。

今って、授業中だよね?


なんで漣兄様がいる3年A組の男子と1年A組の女子が同じ時間に体育の授業なわけ?

1年の女子はテニス・・・3年の男子もテニスって何の陰謀!?


女子達は勝ち抜き戦をしている3年の応援をしていて・・・コートががら空きだった。

暇なので私は香織と打ち合いをしていた。

香織はテニスが上手かった。


しばらく二人で遊んでいると、突然声をかけられた。


「ねぇ!松本さん、オレと手合わせしてよ」


出たな、キラキラ王子!


「先輩となんて無理です」


王子は今日もキラキラフェロモンを撒き散らしている。

プライベートの漣兄様は王子様キャラじゃないと思うんだけどな・・・


「ハンデあげるから、やろうよ」


だ~か~ら、目立つのイヤって言っているよね?


「無理です!」


きっぱりと拒否するとにっこりと笑いながら私を見た。


「そんなこと言わないでさ」


途端にクラスの女子から圧力がのしかかってきた

『漣様がやりたいっておっしゃっているんだからやって差し上げなさい!』

・・・何なのこの人達


「ね?やろうよ」


どこをどうするとこんなキャラが出来上がるのだろうか?

今度、史兄様に聞いてみよう。


「ハンデ・・・沢山下さいね」





--------

    ----------




なんで私兄様とテニスしているんだろ・・・身長差だけでも20センチはあるんだよ?

そんなにやりたきゃ史兄様とやればいいのに。


それに!ハンデがあるからって人のこと左右に振り回さなくたっていいと思う。

もう少し優しさを持ってプレイしてもいいんじゃないの?

私だからついていけるんだから!


激しい打ち合いにいつの間にか黄色い歓声も静かになった。


「利奈!まだ無理しないでね!!」


香織の声に一瞬動揺した。


“まだ無理しないで”って“まだ”って、何で知っているの?

香織を見ると“あ!”と言ったように口が開いていた。



「利奈!危ない!!」

「よそ見するな!!」


香織と兄様の声に我に返ると、ボールが目の前に迫っていて形振り構わずラケットを振り下ろした。


「あ・・・」


打ち返されたボールは・・・コートの遠く向こうへ飛んで行った。


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