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プロローグ

この作品には、未成年の 飲酒・喫煙などを仄めかすシーンがありますが、これらの行動を推奨するものではありません。




薄暗い店内でカウンターの向こうに軽く手を上げると


「いつものでいいか?」


そう聞かれたので笑みを返した


カウンターに置かれたグラスを受け取り一気に煽った


「ほら」


顔なじみのバーテンダーが私へミネラルウォータを差し出してくれた


「ありがと」


それを受け取りホールを横切ると声を掛けられた

周りにいる人たちは身体を揺らしている。

私はテーブルに頬杖をつきながらそれを見ていた。


「今日来てたんだ」


「うん」


知らない顔だったけれど向こうは私を知っているらしい。


「オレ、今日来て良かった」


“そお?”と軽く笑みを返し私はまた身体を揺らしている人たちをぼんやりと眺めた。



「―――だからさ?」


内容のないくだらない話をして…相手の話に頷くのも飽きた。


そろそろ帰ろうかと思ったとき携帯が震えた。

無視しようかと思ったけど表示された人の名前を見てやめた。


「はい…」


『ちょっと、あんたどこにいるのよ』


「外」


『ったく…あんまり面倒くさいとこで遊ばないでよね』


そういう電話の向こうも賑やかだ。男の声が聞こえてくる。


「それよりどうしたの?ママから電話なんて1ヶ月ぶりじゃない?」


携帯電話に表示された意外な名前は私の母親。

そういえば一月くらい顔を見てないなとぼんやり思った。


『あんたの父親から連絡がきたのよ。4月から通う学校を決めたそうよ』


ママの煙草の煙を吐き出すような音が聞こえた


「ママがすんなり納得したの?」


不服そうに鼻をならした


『仕方ないでしょう?大学まで行かせるのが条件なんだから。それに元はといえば学校に行かなくなって進学できなくなったあんたが悪いんでしょ!とにかく、手続きをするために明日迎えにくるらしいから。じゃあね』


一方的に言って切れた


娘がこんな時間に外で遊んでいることはスルーらしい。


まあ、相変わらずといえば相変わらず。


「迎えにくるって、何時よ…」


明日って言っていたけどとっくに日付は変わっているはずだから今日のコトを言っているんだよね


「どうしたの?お母さんから電話?」


「…帰る」


名前も知らない男をその場において店を後にした



夜が明けるまであと数時間…


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